連載【ECビジネス入門塾⑨】 ヒトとモノを紐づけて、リアル店舗にはない価値を
商品のPR手法としてライブコマースを採用する企業が増えている。電子画面だけでは伝えきれない商品への想いを、生産風景などを交えて、ダイレクトに消費者に伝えられる強みがあり、消費者にとってもスマホ1つで自分の好きなタイミングで接客を受けられるというメリットがある。今回は、具体的な動画制作のコツ、初期段階で陥りがちな失敗について㈱Tailor Appの松村夏海氏に話を聞いた。
ライブコマースを視聴する人の滞在時間は、およそ10分。動画は最初の1分半で視聴者の60%は離脱すると言われている。離脱を抑えるコツは、商品のキレイな部分だけではなく、より芯に近い部分を見せること。例えば、五島列島の椿オイルを販売するなら、広大な大地に椿が咲いている風景、それを1つ1つ手摘みしている場面、研究所で製品を開発する場面を撮影する。それが企業の透明性や信頼となり、消費者の納得に繋がる。商品が溢れる時代だからこそ商品に思いを宿すこと、生産者の商品へのこだわりをリアルに伝えることは、非常に重要だ。ECで物は絶対に売れないと言われた20年前、最初にヒットしたのは、楽天モールの高級卵だった。彼らは、生産者のエサへのこだわり、1つ1つの卵を宝石のように丁寧に並べる姿を見せてファンを掴んだ。こうしたやり方は、ライブコマースにも通じる部分がある。
売れるライブコマースは、必ずヒトとモノの紐づけを意識している。リアル店舗で買えるものと全く同じものを提供しても価値は薄い。そもそも日本のライブコマースは、アイドルやV Tuberなどエンタメから始まった経緯もあり、出演者は非常に重要だ。いかに商品の潜在顧客から支持されている人を起用することが求められる。もしくは、企業のブランド開発者や研究者など、商品に愛を持っている人を出演させても良い。消費者があまり意識しない商品の細かなこだわり等を伝えることは、それだけで十分に価値がある。健康食品は、商品ごとの違いが見えにくい。酵素や青汁がなんとなく体に良いのは分かるが、具体的にどういう成分が含まれているか、どのように身体によいのか、もっと芯になる部分を伝える必要があると思う。つづく
詳しくは健康産業新聞1739号(2022.5.4)で
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