特集【食品分析検査】 分析から技術研修、開発支援までサービス多様化
栄養成分表示が完全義務化して2年が経ったが、表示への関心が高まり、食品企業と食品分析機関の関係性が一層強まっている。今回の取材では、食品分析機関から「食品メーカーとの距離が近くなり、現在も相談件数が増え続けている」「栄養成分表示をきっかけに機能性表示食品向けなど、他の分析依頼に繋がることが多い」といった声が聞かれた。栄養成分表示は、公定法を用いるほか、簡易法による近似値での表示が認められている。近年では、近赤外線技術を用いた検査技術が一層発展し、商品数や開発数の多い企業を中心に機材を導入し、自社での検査で栄養成分表示を行う例も増えるが、精度の確認のため定期的に外部検査も行うことが多い。
消費者の健康志向が高まる中、各検査機関では、栄養強調表示向けに、ビタミンC・Dといった免疫の維持に必要な栄養成分の測定や、「糖質フリー」「脂質フリー」表示に向けた食品分析検査の依頼は「高止まり」「微増」といった傾向が見られた。また、機能性表示食品の関与成分の分析依頼が伸びる検査機関も複数見られた。機能性表示食品はコロナ禍の間にも増加し続け、2022年に入って僅か3ヵ月で1,260品が加わる勢いとなっている。乳酸菌、クルクミン、フコイダンをはじめ、関与成分の分析の需要は増し続けている。「2021年度は前年比で約20%増」という分析機関も見られた。さらに、分析機関によっては効果試験を提案する例もあり、食品分析機関の活躍の場面はますます広がっている。
「HACCPに沿った衛生管理の制度化」は、2020年6月にスタートして2年弱となる。食品メーカーでは、品質管理をより内部化する動きがみられる。HACCP管理体制の構築が進んだことで、担当者が専門性を高めている。原料の検査、製造工程での検査、製品検査と各段階を自社で検査し、定期的に外部の検査機関による検査を組み合わせて行うことで、精度を確かめる。検査項目や回数が増えたことで、簡易測定として機械測定を導入する例も増えている。
こうした中で、HACCPの運用研修や指導者育成の研修、コンサルタント業務の依頼が各検査機関で増加。「半年以上先のセミナーまで予約でいっぱい」、という検査機関の例も見られた。コロナ渦を機にオンライン化が進み、研修も全国から参加しやすいオンラインの人気が高まる。一方、実地で検査手法を学び取り、その場で質問をして知識を身に着けたいという要望も強く、オフラインでのセミナー実施を再開した分析機関もある。つづく
詳しくは健康産業新聞1738号(2022.4.20)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら