特集【ローヤルゼリー】 市場規模300億円まで回復

 ローヤルゼリー(RJ)は、花粉やミツを食べた働きバチの下咽頭腺から分泌される機能性素材。乳白色のクリーム状で、女王バチしか食さないため、別名「王乳」とも呼ばれる。ピリッとした酸っぱさがあり、デセン酸(10-ヒドロキシ-2-デセン酸)と呼ばれる特有の脂肪酸のほか、必須アミノ酸、ビタミン類(B1、B2、B6、葉酸など)、ミネラル、5-アミノレブリン酸などを豊富に含んでいる。女王バチの寿命は、働きバチの50倍以上長いことから、古くから不老不死の妙薬として重宝されており、美容・抗老化を訴求する健食素材の代表格とも言える。

 

 カプセル状のサプリメントが一般的で、他素材と組み合わせて、ドリンクやゼリー飲料配合にされることも多い。RJの生産国は、中国、台湾、タイ、ニュージーランドなど。財務省の通関統計によると、2021年の輸入量は約317t(前年比17%増)。3年ぶりに300t台まで回復した。通関統計は、生RJと保存の効く乾燥粉末品が混在した数値であり、そのまま市場流通量に結び付くものではないが、原料サプライヤーからは、「加工食品向けに安定した引き合いが増えている」「海外向けの輸出案件が増え、前年比2ケタ増で推移した」など前向きな声が聞かれており、トータルで見ても市場は回復基調にあると見られる。一方で、「コロナや天災で、原料確保が難しくなっている」との指摘も。乾燥粉末RJの原料相場は1万円前後で安定しており、現在も大きな変動はないが、ハチミツやプロポリス同様、生産の9割以上を海外に頼っている素材だけに、コロナによる生産・輸送コスト増による価格への影響が懸念される。

 

 業界団体の全国RJ公正取引協議会によると、21年度の証紙発行枚数は、80万9,300枚(前年比25%減)。会員数は前年から6社減の187社となった。コロナの影響から、主要メーカーの広告・宣伝費の削減、大手ブランドの会員離脱も見られた。営業活動が制限された訪販・MLMチャネルでは、苦戦する企業が目立った。同協議会の証紙(公正マーク)は、RJ製品の品質を保証するものであり、RJサプリの市場流通量を知る1つの指標となる。RJをメインとする健康食品が減少していることは否めない。ただ、主要メーカーへの聞き取りでは、「効果・効能を伝えることは難しい素材だが、RJそのものの知名度の高さは大きな武器だ」との声も。乳酸菌や酵母、亜鉛との組み合わせ、売上を伸ばした事業者や、通販で20%近い売上伸長率を記録する製品も見受けられた。

 

 また、公正マークは付与されていないが、サブ素材としてRJを配合した美容ドリンクやエナジー系飲料などは好調に推移している。明治の『即攻元気シリーズ』は21年度の売上高が前年比2ケタ増を記録。「一時期は、オフィスや通勤需要に落ち着きが見られたが、最近はまとめ買い需要等を捉えて、売上が上向いている」という。このほか『ライフガードX』(CHEERIO)や『リアルゴールド』(コカ・コーラシステム)なども堅調に推移している。各社への取材を基に本紙が推計した21年のRJ市場規模は、約300億円(前年比7%増)。コロナ禍での疲労回復、巣ごもり需要を取り込んだR J配合品が、市場の底上げに繋がり、5年ぶりのプラス成長となった。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1736号(2022.3.16)で
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