【インタビュー】 (公社)日本通信販売協会専務理事 万場徹氏
消費者庁は2月15日、「アフィリエイト広告等に関する検討会」の報告書を公開。1月28日の検討会にて、大筋で合意されていた報告書案が確定した形だ。報告書では、アフィリエイト(A)広告の責任主体は広告主であること、不当表示未然防止策として広告である旨を明記すること、悪質な事業者に対する景表法・特商法など各種法規の適用方針が示されており、通販事業者にとっては今後の事業指針の1つとなる(詳細は1733号1面参照)。報告書内容について、検討会に委員として参加した日本通信販売協会の万場徹専務理事に話を聞いた。
── 検討会全体の所感
検討会では、「(A広告に関する)5万件の苦情・相談が」ということがしきりに言われてきた。ただこの数値は、定期購入全般への相談であり、それが全てA広告に関するものだという明確な根拠はないと消費者庁も報告している。また、相談の中身も消費者の勘違いなどのケースもあるだろうし、(相談の)全てが事業者に非があるような前提で議論が進むことには、違和感があった。広く関連する広告主の団体も参加する形で、議論すべきだったのではないかと感じる。悪質業者への厳正な対処は、当然必要なことだが、それらを排除するために一般の事業者の行動が制限されることは避けるべきだ。景表法、特商法、薬機法、消費者安全法など現状の法規制を適切に運用すれば、アフィリエイターを含む悪質業者を規制することはできる。今回の報告書案についても、何ら今までの解釈を変更するような点はない。
── 広告である旨を明記する事は有効か
特商法の例を示せば、悪質業者の行為に対して、何度も規制強化、法改正がなされてきたがそれらを遵守し、コスト負担を強いられるのは、いつも真っ当な事業者。悪質業者は、そもそもそれらを遵守することはないし、次々と新たな悪質商法に乗り換えていくだけだ。今回の報告書では、事業者がA広告であることを明記することが盛り込まれた。ただ、広告と表示することだけで悪質な広告がなくなることはないと考える。消費者は、基本的に商品や価格に最も関心があって、そのような表示を注意して見ることはほとんどないし、悪質なA広告に騙される人は、表示の有無に限らず簡単に騙されてしまうからだ。こうした問題の本質は、「がんに効く」とか「何十キロもやせる」とか、そういう広告を見て簡単に騙されてしまう消費者の存在にある。通信販売は、消費者にプレッシャーを与えて購入を迫る販売手法ではない。購入の判断は常に消費者側にあるのだから、その選択権を有効に利用し、合理的な判断をしてほしい。つづく
詳しくは健康産業新聞1735号(2022.3.2)で
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