【インタビュー】 広島大学大学院 口腔生物工学分野 二川浩樹教授
◆ヒト由来のオーラルケア乳酸菌、自然免疫賦活作用に新知見
ヒトの口腔内から採取されるL8020乳酸菌(ラクトバチルスラムノーザスKO3株)。口腔粘膜での安定性が高く、ウイルスの体内への侵入を防ぐバリア機構を強化することが分かっている。さらに最新の研究では、抗ウイルス粘膜免疫の賦活化につながる可能性が明らかに。L8020乳酸菌研究の第一人者である広島大学大学院の二川浩樹教授に話を聞いた。
――KO3株の免疫賦活について
私たちの生体内には、ウイルスが体内に入るのを阻止する「バリア機能」と体内に侵入したウイルスを殺すための「自然免疫」が備わっている。これまでの臨床研究で、KO3株には、口腔内の上皮細胞に存在するタイトジャンクションを強化し、病原菌、毒素など外来異物の侵入をバリアする機能が明らかとなっていた。さらに昨年のin vitro試験にて新たに粘膜免疫の活性(自然免疫の賦活作用)が明らかとなり論文化された。基本的にウイルスの感染は、皮膚表面ではなく、手や飛沫などが粘膜に接触して引き起こされる。中でも鼻や口の粘膜を経由するパターンは非常に多い。KO3株の経口摂取により口腔内からのウイルス感染リスク軽減が期待される。
――腸由来菌と比較したメリット
KO3株は、ヒトの口腔内から採取された菌株のため口腔内への安定性に優れている。これは他の乳酸菌にはない特長だ。2019年に実施した臨床試験では、自分では歯磨きのできない知的障害を抱える人にKO3株を配合したヨーグルトを90日間食べてもらい、口腔状態を経過観察した。その結果、腸由来の乳酸菌群と比べて、口腔粘膜上皮への付着率が非常に高く、歯周病の要因となる歯周ポケット数が有意に減少した。また歯肉指数にも有意な減少が見られ、歯茎炎症の改善作用が認められた。つづく
詳しくは健康産業新聞1712B号(2021.3.17)で
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