特集【食品受託試験】 「機能性表示食品」進化、CRO活躍の場広がる

 健康食品の安全性などを調べる「非臨床試験」、実際にヒトで有効性等が得られるかを検証する「臨床試験」は、いずれも専門知識・設備やノウハウを必要とする。これらを請け負うのが食品受託試験企業だ。顧客のニーズに応じて試験デザインを設計し、報告書の取りまとめや論文発表などに対応する。2015年に「機能性表示食品制度」がスタートしたことでその存在感は一層強まった。

 機能性表示食品は瞬く間にその数を増やし、2,300品を突破。その評価は、既存の論文を評価する研究レビューか、ヒト試験で行われる。ヒト試験による評価は150件を超え、全体の7%ほどとなっている。

 機能性表示食品は今年3月末のガイドライン改正でさらなる進化を遂げた。「鼻目のアレルギー反応」「血清尿酸値」で、一部軽症者データの利用が可能になった。また、「軽度認知障害(MCI)」を健常域に含めることとした。試験デザインの幅が広がり、有力食品CROからは「各社動き出している」との声が聞かれた。

 一方、2018年4月に施行された「臨床研究法」。対象になれば厳格な試験運用が求められ、コスト・時間は従来よりかかり、企業にとっては負担となる。消費者庁はQ&Aで、食品の有効性を明らかにする目的のヒト試験は、同法が規定する臨床研究には当たらないことを説明。しかし「未承認の医薬品を用いた臨床研究」とみなされる場合はその限りではないとの注釈をつけた。

 厚労省の担当官は今年7月に行われたセミナーで、機能性表示食品の届出に必要な試験でも、疾病治療等の目的と判断されれば、臨床研究法の対象になり得ることに言及。個別判断になるとしつつ、「軽症者を対象とした研究は少し注意が必要」と述べた。

 食品受託試験企業は、消費者庁が示した「食品の有効性を明らかにする目的のヒト試験」に合致するよう試験デザインを設計。一方、臨床研究法に対応した試験の相談も増えつつあり、同法に対応した試験を行う食品CROも出始めている。つづく

 


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