特集【アクティブシニアサポート】 中高年の筋力・筋肉量維持、市場活性化

 東京大学高齢社会総合研究機構特任教授の秋山弘子氏は、10月3日に開催された第8回「栄養とエイジング」国際会議プログラムにて、「虚弱化兆候の早期発見、予防対策が必要だ」と強調。官民地域連携によるフレイル予防事業の推進や、社会課題解決に向けたオープンイノベーションの必要性を提案している。

 学会では後期高齢者を迎える前段階の前期高齢者および、それ以前の40~50代の定期的な運動(筋力維持)と栄養(特にタンパク質、ビタミンDやミネラル類の摂取)の重要性が確認された。

 日本では超高齢化が進む一方、「アクティブシニア」と呼ばれる元気な高齢者が増加。中心となっているのは前期高齢者(65~75歳)で、スポーツ愛好家でヘルスリテラシーが高く、自ら情報収集を行い、サプリメントや健康志向食品を購入する傾向が見られる。

 「コツコツ骨ラボ」が今年8月に40~60歳の男女1,200人を対象に実施した「大人の骨の健康と食生活」に関する意識調査では、男女ともに運動習慣がある年代は60代が最も多く、4割以上に運動習慣があるという結果に。全体では約7割が運動に対して前向きであり、「運動を始めた・再開した・今後したい」理由の6割は「筋肉をつけたい」「骨を丈夫にしたい」などの身体的な理由が上位を占めた。

 高齢者の筋肉や骨の健康維持には「運動」だけでなく「栄養」も重要と指摘されている。ロコモティブシンドロームを予防する素材としては、定番のグルコサミンをはじめ、コンドロイチンが一大マーケットを形成。一方、前述の調査より、骨を丈夫にする栄養素に関する理解は「カルシウム」のみにとどまり、「ビタミンK2」や「ビタミンD」の認知は低い結果に。「骨」「筋肉」維持強化素材に関する理解が十分浸透していないという結果となった。

 筋肉量は30歳をピークに低下し始め、80歳を過ぎると年間1.2%減少すると言われている。高齢者の筋肉量の維持についてはロイシン高含有のアミノ酸、HMB、クレアチンや、各種プロテインなどが有用とされている。これらはスポーツ分野で筋肉量の強化として流通しているもので、シニア層の筋肉量、筋力の維持の目的でも積極的な販促展開がされている。

 関連各社では、これら素材をサプリメントだけでなく、飲料や加工食品、ゼリータイプの商品など、高齢者でも摂取しやすいアプリケーションとして開発、提案を強化している。今後、アクティブシニア向け機能性表示食品の登場や各社の啓発活動を通じて中高年層による、「骨」「筋力」素材への理解が深まることで、市場はさらに活発化していくことが予想される。つづく

 

詳しくは健康産業新聞第1678号(2019.10.16)で
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