生薬学会、「日本食+機能性表示で、行動変容に」
日本生薬学会第66回年会が9月22日から2日間、都内で開催され、初日に健康食品に関する特別講演やシンポジウムが開かれた。特別講演を行った日本食品安全協会理事長の長村洋一氏は、健康食品の大きな問題点として明確な定義がないことを指摘した一方で、機能性表示食品が保健機能食品に位置づけられ、健全な発展に期待を寄せた。また、加工品が多い機能性表示食品を生かし、日本食に機能性表示食品を取り入れた“健美和膳”の活用法を紹介した。このほか、シンポジウムでは「食薬区分」「植物素材の品質評価」などをテーマにした講演が行われた。
特別講演を行った日本食品安全協会理事長の長村洋一氏は日本人の死因上位が悪性腫瘍、心疾患、脳血管疾患が占めることを挙げ、「これらは明らかに食生活と直結している」と言及。「食生活の重要性を認識して欲しい」と訴えた。同氏は、特定保健用食品や栄養機能食品などの保健機能食品を説明。健康食品の大きな問題点として明確な定義がないことを述べた。一方で、平成27年からスタートした機能性表示食品制度により、「健康食品(有効性、安全性、品質管理など)の問題は、かなりなくなるのではないかと期待をしている」と述べ、民間調査をもとに、制度発足に比べて約5倍に市場が拡大していることを紹介した。
また、同氏は保健機能食品の活用法の1つとして、“健美和膳”(健康によい作用のある食材を加薬や薬味として加えてできる美味しい日本食)を提案。世界各国の中で、日本の平均寿命が男女ともに1位である背景には、日本食の寄与が非常に大きいと述べ、「伝統薬膳の考えを尊重し、旬の食材、地元産の食材を使用し、保健機能食品を用いることによって、そのメニューの有する保健機能を食べる人に明確に伝えることができる」と話した。受理されている機能性表示食品は加工品が多いことから、「管理栄養士が上手にアレンジして食事に加えることによって、例えば、血圧と血中脂肪改善を目指したメニューなどができる」と、イラストを交えて機能性表示食品を活用した食事メニューを紹介した。
このほか、同氏は「薬と健康の知識のある人が食と健康の問題に係ることは、国民の健康を支える人材となるために極めて重要な項目」と食品リスクコミュニケーターの養成も必要との考えを示した。つづく
詳しくは健康産業新聞第1677号(2019.10.2)で
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