特集【スピルリナ】 “スーパーフード”で市場定着へ

 スーパーフードの王様として知られるスピルリナ。米国では天然の総合栄養食として、セレブやハリウッドスターが“スーパーフード”として注目したことを契機に、ブームが再燃した。国内でもテレビや雑誌などのメディアに取り上げられる機会が増加。スピルリナを愛用する女性タレントがその魅力を語ったり、名古屋市のラーメン店「紫陽花」が提供するスピルリナ配合ラーメンが取り上げられたりと、様々な切り口で紹介され、反響も大きいという。

 日本橋三越本店が3月に開催したイベント「ウェルビーイングディッシュ」では、スピルリナ使用の多彩な商品が紹介された。加工食品の企画・販売を行うCarna(カルナ)では、本格熟成手延べ麺に、スピルリナのパウダーを練り込んだ「スピルリナパスタ」を出展。日ごろ不足しがちな健康・栄養成分を手軽に摂取できると紹介した。本格江戸前ずし「銀座鮨たじま」では、寿司酢の代わりにリナブルー®(スピルリナ由来の青)を使った鮮やかな巻き寿司「アセロラ酢とリナブルーの太巻き」を披露した。

 スピルリナ配合商品はCVSルートでも広がりをみせている。ローソンでは、スピルリナ配合の『グリーンスムージー』をナチュラルローソンブランドで販売。2015年発売以来、シリーズ累計売上数1億7,000万個を達成している。スピルリナは、タブレットタイプの健康食品から、麺類や飲料などの一般食品分野まで裾野が拡大。さらなる飛躍が期待されている。

 スピルリナは植物性タンパク質(60~70%)の含量が多く、細胞壁が薄いため消化吸収に優れていることが特徴。特有成分のフィコシアニン、ビタミンやミネラル、クロロフィルa、α-リノレン酸やリノール酸などの脂肪酸、カロテノイド類などが含まれている。

 スピルリナの高い栄養価に着目するサプライヤーサイドでは、介護やスポーツ分野への提案を活発化している。DICライフテックでは、高齢者の低栄養(低タンパク質)やフレイル予防としての提案を本格化。介護系の展示会等で用途提案をはじめている。サンライフは、スムージー用途を中心に引き合いが好調。「ここ数年、供給量は前年を上回っている。スイーツなどの一般食品やサプリメント分野での新規商談も複数進行している」という。

 東洋酵素化学では、スピルリナとアスタキサンチンをブレンドした独自のミックス原料を展開。今後はロコモ・フレイル訴求での提案を強化していく。スピルリナ研究所は、「スムージーやドリンクなど各種のスーパーフード市場向けOEMが伸長している」といい、OEM製品のアフターフォローとしての研修や情報提供にも注力している。

 世界的な人口増加と新興国の経済で食糧不足への懸念が高まっている。2030年頃にはタンパク質の需給バランスが崩れると予測されており、スピルリナで「世界のタンパク質危機」を解決しようとする企業の取り組みもある。

 自動車部品製造メーカーのビューテックは、タンパク質含有率の高さや生産性に優れたスピルリナに着目。国内初の「生スピルリナ」や、「乾燥スピルリナ」を製造している。タンパク質危機を“藻”で解決することを目指すタベルモは、ブルネイに「生スピルリナ」の生産工場を建設。同社によると、「ブルネイ工場の栽培は順調で、ブルネイ産の新製品を今秋目途に日本市場で新たに展開していきたい」としている。つづく

 

詳しくは健康産業新聞第1675号(2019.9.4)で
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