特集【アレルギー対応素材】 行政施策追い風に、市場拡大の兆し

 アレルギーを訴求する機能性表示食品が増えている。昨年9月時点で「目や鼻の不快感を軽減する」という機能性表示食品は14品だったが、1年で新たに6品目が受理。機能性関与成分はメチル化カテキンが15品目と多数を占めるが、ヒガシマル醤油が大豆発酵多糖類で、雪印メグミルクが乳酸菌ヘルベで受理されるなど、新規素材での受理も進む。

 市場では、アレルギー対応サプリメントの定番素材として、乳酸菌、チシャトウ、シソ、ジャバラなどが流通。富士経済の調査によると、アレルギーを訴求する健康食品市場は、2016年の1,490億円から2018年予測では1,691億円と伸長しており、原料メーカー各社からも「アレルギー対応素材として引き合いが増えた」との声がいくつも聞かれている。

 それぞれの素材をみると、チシャトウは抗アレルギー作用があるとされるケルセチンやクロロゲン酸、カフェ酸といった成分を含有。これまでの研究で、花粉症に対する抗アレルギー作用や皮膚掻痒行動の抑制作用などが確認されている。腸内細菌叢や腸内フローラなどの研究で様々な機能が期待されている乳酸菌では、特定の菌株でアレルギー性鼻炎の改善作用をはじめ、花粉症様症状の軽減作用や、アトピー性皮膚炎の改善効果などを確認。アレルギー対応素材としての提案が加速している。

 シソは古くから日本で親しまれてきた食材。アピゲニン、ルテオリンなどのフラボノイド類やロスマリン酸で、花粉飛散時期におけるアレルギー様症状への臨床試験が実施されており、機能性表示食品の受理を視野に入れるメーカーもいる。

 今シーズンの動向を追うと、テレビ番組で取り上げられたこともあり、ジャバラの伸長が目立った。ジャバラを原料とする『邪払のど飴』を取り扱うUHA味覚糖では「3月、4 月の花粉症シーズンでは、対前年比で400%以上の売上増を記録。通年でも200%増となる見込み」だという。

 ジャバラは和歌山県東牟婁郡北山村を原産地にもつ柑橘類のひとつ。ナリルチンが豊富に含まれており、花粉症症状抑制効果や、アトピー性皮膚炎に関する研究結果が発表されている。産学官連携も活発に行われており、最大生産地の和歌山県では、今年度より「機能性表示食品に関しての受理を目標にしたエビデンス構築の事業なども対象に含めた」支援メニューを追加。今年3月には農林水産省委託事業「平成30年度国産農産物消費拡大委託事業(機能性農産物等活用バリューチェーン構築調査)」においてジャバラに対する機能性表示食品届出支援も行われている。


詳しくは健康産業新聞第1675号(2019.9.4)で
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