【海外情報】 世界のサプリ市場2,000億ドルに近づく
インフォーマグループの米国業界誌『NBJ(Nutrition Business Journal)』は、2024年の世界のサプリメント市場の売上高は1,947億7,000万ドルに達すると予測した。前年の1,846億9,000万ドルから5.5%の成長を見込むという。西ヨーロッパとアメリカの2つの市場でインフレが改善しつつあることや、コロナ禍に市場に参入してきた消費者が市場に定着しつつあることなどが背景にあるとした。コロナ禍である2020年の11.2%の成長には及ばないが、堅調に推移しているという。一方でNBJが調査している対象国22の国と地域の内、売上高が前年を下回るのは日本のみと分析。小林製薬の紅麹事案による余波が大きいとみられ、NBJは日本は無視できない市場ではあるが、慎重になるべきだとしている。
【米国市場】 サプリトレンド「多機能健食」「体重サポート」など
インフォーマグループの米国業界誌『NewHope Network』は、2025年の自然食品・飲料、サプリメント、美容、持続可能性などに関する25のトレンドを発表した。「ウェルネスとサプリメントレンド」では、「多機能健康食品」「ライフスタイルとしての長寿」「女性のための最高のパフォーマンス」「体重管理サポート」「CBDを超えるカンナビノイドのイノベーション」の5つを挙げた。「多機能健康食品」では、電解質入りの飲料と腸内環境を整えるプレバイオティクスなど、複数の健康効果を組み合わせた製品を消費者が求めていると指摘。簡便性と効率性の需要に応えるもので、アダプトゲン、プレバイオティクス、ビタミン、ミネラルを配合した低糖質飲料などの人気が高まっているとした。「体重管理サポート」では、オゼンピックなどの糖尿病治療薬の人気の高まりがサプリメントの需要も押し上げていると分析。GLP-1治療薬を使用している人の内、46%が毎日サプリメントをも摂取していることが分かっており、糖尿病治療薬の使用前・使用中・使用後に合わせた栄養バランスをサポートする製品に需要があると分析している。
【中国市場】 約280億ドル、成長鈍化
NBJのまとめた「Global Supplement Business Report 2024」によると、2023年の中国のサプリメントの売上高は263億1,000万ドルで、2024年には6.3%増の279億7,000万ドルになると予測。成長率は伸び悩んでおり、一人っ子政策の影響が労働力人口の減少に現れていると指摘している。また、国内総生産(GDP)が5.2%に留まるとし、今後数年間は好調だが、見通しの悪い状態が続くと見方を示している。2023年8月、日本からALPS処理水の海洋放出が開始され、1年以上が経った。財務省貿易統計によると、2024年の中国向け「栄養補助食品(ビタミン・ミネラル・アミノ酸又は不飽和脂肪酸をもととした栄養補助食品)」の輸出額は、前年同期比27.8%減の59億6,000万円。金額ベースで23億円マイナスとなった。ALPS処理水の影響が続いていると見られる。
【インド市場】 市場規模9%増の147億ドルに急成長
2023年に中国を抜き、世界で最も人口の多い国となったインド。NBJのレポートによると、インドはサプリメントにとって有望な市場だという。インドでは中流階級層が大幅に増加し、2021年の時点で全人口の31%を占める4億3,200万人に上った。中流階級層だけで既に米国の総人口を上回っている。さらに、2047年には中流階級層がインドの人口の60%まで増加すると予測されている。また、経済成長率は大幅に上昇し世界第1位となった。2023年のGDP成長率は7.6%になり、中国の5.2%を大きく上回る見込みだという。インドではアーユルヴェーダ思想が古くから浸透し、栄養を通じた健康増進に寛容な文化が根付いていることもサプリメント市場にとって重要なポイントの一つと分析している。特にハーブやボタニカルサプリは堅調に推移している。
レポートによると、2024年のインドのサプリメント売上高は、前年比8.7%増の147億2,000万ドルに達するという。この予測通りになると、インド市場は2019年から50.7%増となる見込み。サプリメント市場にとってインドは中国に取って代わる市場に成長する可能性もあると分析している。世界的な市場調査会社のユーロモニターインターナショナルの担当者によると、インドでは若年層の健康意識の高まりがあり、10代から高齢者まで幅広い年齢層がサプリメントを使用しているという。また、マルチビタミンは利便性とコスト効率の良さから人気が高いとした。特にジェルカプセル、グミ、水溶性タブレットが人気だと話す。
つづく
詳しくは健康産業新聞1803号別冊「新年特別号」(2025.1.1)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら