ZOOM UP【クマ笹】 免疫賦活、口腔ケア、腸内環境改善など活用広がる
クマ笹は、北海道を中心に、青森、新潟、長野などで自生するイネ科の単子葉類ササの一種。60〜120年間地中の成分を吸収し続け、雪の中でも枯れずに耐え抜くなど生命力の強い植物としても知られている。クマ笹には、ビタミン・ミネラル・アミノ酸・葉緑素などの栄養素を豊富に含まれる。有効成分として着目され、研究されてきた“多糖体”の含有量が高いことでも知られる。多糖体”は、細胞膜損傷部と相互に親和性を有することから、細胞膜の傷ついた箇所を補強・修復する機能が示唆されている。漢方生薬では“悪疫を祓う”ともいわれ、「本草網目」には、「呼吸器系、咽喉の疾患に効き、腫瘍を消す」と収載されている。東京薬科大や星薬科大など薬学系のアカデミアを中心に、クマ笹の持つ免疫賦活作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗ウィルス作用、抗ストレス作用など広範囲にわたるエビデンスは、日本薬学会や日本臨床獣医学会などで報告されている。
昨年は、120年に一度といわれる開花が話題となり、開花後に枯れ、数年は回復しないため、充分な原料確保への懸念があることから、今後、原料の稀少性が一段と高まってきそうだ。直近では、原料価格高騰などから、国産素材を再評価する傾向も追い風に、エキス、茶類、青汁、ペットサプリなど幅広い用途で需要が拡大している。中でも青汁については、2015年に日健栄協の「青汁食品」規格基準に“クマザサ”が公示されて以降、もともと健康茶として愛飲する高齢者層を中心にリピーターが多いこともあり、『北の大地の青汁』(野草酵素)や、『乳酸菌が入った青汁』(世田谷自然食品)、『すっきり腸快青汁』(健翔)など、差別化を図る目的で青汁製品への採用が伸長。新商品開発やリニューアル品として再評価されている。
コロナ禍で高まった免疫への関心の高まりを受け、主剤や副材として検討する事業者も増え、伝統的な“ジャパンハーブ”として北海道などを訪れるインバウンド需要を狙った商品にも数多く採用されている。耐熱性、汎用性に優れ、抹茶のような美味しさを持つ点から、サプリメント用途以外にも、スムージーやバウンドケーキ、クッキーなど一般加工食品・製菓用途への新たな提案も進んでいる。つづく
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