特集【ヒアルロン酸Na】 海外ニーズ引き続き高まる
美容素材の中でもトレンドに左右されずに安定した市場が形成されているヒアルロン酸だが、昨年辺りから供給量が増加傾向にあるようだ。原料サプライヤー各社の聞き取りでは、概ね前年比を上回る状況がわかった。ヒアルロン酸原料トップサプライヤーのキユーピー・ファインケミカル本部では、「国内では機能性表示食品に加え、一般食品への採用が多いほか、ここ数年は力を入れている海外への展開も進んでいる」という。同社では、米国市場での展開を睨み、早くから展示会イベントなどに積極的に参加してきたが、地道な取り組みが奏功した格好だ。日本新薬も機能性表示食品対応原料を展開しており、堅調に推移。中原では「機能性表示の利用はないものの、 品質と価格のバランスが取れた原料を探しているメーカーから問い合わせが多い」としている。アダプトゲン製薬はロコモ・フレイル対策としての展開に加え、近年はフェムケア領域での提案にも力を注いでいるという。また、サンライフでは、需要拡大を背景に原料・OEM供給の再開に踏み切るなど、好調の様子が窺える。
ヒアルロン酸のグローバル市場が引き続き好調だ。米調査会社REPORTOCEAN社が発表した最新のレポートによると、2025 年までに 7.02%のCAGR(年平均成長率)を記録し、18,153 百万米ドルに達すると予想。2021年時点でのヒアルロン酸の世界市場規模は18.2億米ドル、2030年には40億2,000万米ドルに達するとしている。市場拡大の要因として、新興国における消費者層の拡大が強いとみている。また、同じく調査会社のReports and Dataによると、世界のヒアルロン酸市場は2028年までにCAGR6.9%で推移すると予測する。ライフスタイルの変化や慢性疾患の増加などがヒアルロン酸市場を押し上げるとしている。皮膚充填剤、骨関節炎、眼科、および食品添加物などのいくつかの用途で拡大するとしている。
こうした背景もあり、原料サプライヤー各社では海外への輸出展開を加速させている。特に台湾は2017年より発酵品の食品原料が流通可能になったことで需要は年々高まっており、キユーピーでは、近年注力している米国と並び「主要輸出先のひとつ」と捉えている。海外での需要増の要因は、ヒアルロン酸のエビデンスが広く知られるようになったことに加え、日本製原料に対する高い評価が挙げられる。ヒアルロン酸が持つ組織の構造維持や水分保持作用は、肌の保湿のみならず、シワやたるみの改善に繋がることがわかっており、美容訴求食品に欠かせない素材であるとの認知が進んでいる。つづく
詳しくは健康産業新聞1803号(2025.1.1)で
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