【有識者インタビュー】 珪素の安全性は「非晶質」が絶対!
富山県立大学環境・社会基礎工学科准教授 工学博士 立田 真文氏
シリカウォーターや珪素濃縮液をはじめ、珪素を配合したサプリメントや化粧品、殺菌対策製品の市場が拡大する中、新規参入する原料サプライヤーも少なくない。なかでも最近は、未利用資源であるモミ殻を由来とする植物性珪素が、SDGsの観点からも注目され、植物性の珪素原料が複数流通している。一方で、安全性に疑問の残る原料も少なからず見られるという。ここでは、自身でもモミ殻由来の植物性珪素の開発実績を持つ富山県立大学環境・社会基礎工学科准教授で工学博士の立田真文氏に、安全な珪素原料について話をうかがった。
──「天然=安全」「植物性=安全」とのイメージがあるが
立田氏 自然界において珪素(Si)は酸素と結合したシリカ(SiO2)の状態で存在する。食品用のシリカにおいて最も重要な点は、非晶質(アモルファス)か否かだ。鉱物由来でも非晶質であれば安全であり、植物由来でも結晶化したシリカは危険だ。結晶質のシリカは、①粒子が小さい、②形状が針のようにシャープ、③溶けない(反応しない)という特徴がある。世界保健機構(WHO)からは、発がん性物質に分類されている。実際、鹿児島県など水道水中のシリカ濃度が濃い地域で、犬のシリカ尿結石が多く観察された論文も発表されている。結晶質のシリカが入っている(混濁している、浮遊している)水の場合、飲水により粒子が小さくシャープなシリカの結晶が、分解されず内臓に突き刺さる、体内に蓄積されるなどにより、炎症反応を起こし、細胞に悪影響を及ぼす危険性がある。一概に「天然=安全」や「植物性=安全」とは言えない。
──珪素の可能性と、安心・安全な珪素原料を確保するには
立田氏 シリカは健康・美容業界において非常に有用なミネラル成分であり、世界中で様々な研究が行われ、有用性に関するエビデンスも構築されている。水やサプリメント、化粧品への活用を通じて、シリカが健康寿命の延伸はもちろん、美容・エイジングケアにも役立つ素材であることは間違いない。ただ残念なことに、非晶質と結晶化したシリカは、見た目では全く区別がつかない。非晶質か否かを見分けるには、X線解析しかない。逆に言えば、シリカ商材の取り扱いを検討しているメーカーや販売会社は、シリカの原料サプライヤーを選択する際に、X線解析データと安全性データの有無を確認することが重要だ。
つづく
詳しくは健康産業新聞1802号(2024.12.18)で
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