特集【珪素】 300億円市場を堅持も、淘汰進む
大手インターネットショッピングサイトで「シリカウォーター」と検索すると、依然として多くの製品が販売されていることがわかる。国内外の天然水に含まれるミネラル成分の1つ「シリカ(珪素)」を強調したアイテムが多い。現在は大手インターネットショッピングサイトに留まらず、ドラッグストアやスーパーマーケットなど、様々な店舗でもシリカウォーターを見掛けるまでになっている。市場拡大の一方、安全性が危惧される珪素原料、パッケージに表示した珪素(シリカ)含有量と、実際の含有量が異なる商材なども一部で流通。2022年3月には珪素商材の販売企業が景表法違反で措置命令を受けるなどの事態が発生。同年12月には、(独)国民生活センターが、商品テストの結果を発表。珪素の含有濃度や含有量の記載がない銘柄、表示している含有量を満たしていない銘柄など、食品表示法に抵触すると考えられる銘柄が複数見られた。また、販売者や製造者等のWEBサイトの商品紹介ページ、公式通販サイトなどでは、薬機法や健増法、景表法などの関連法規に抵触する銘柄なども見受けられたとし、消費者への情報提供および、行政への要望を行う事態となった。
こうした流れを受け、昨年来、食品系・健康・美容系の展示会等で、珪素商材やシリカウォーターの出展社を見る機会が減少、勢いに陰りが見られる。出展社への取材では、特に天然水をベースとした製品のメーカーからは、「競合品が増加する中、製品差別化ポイントを見出せない」「市場は飽和状態だ」といったコメントが複数聞かれた。天然水中のシリカ含有量はもともと少ない上、アース製薬のように天然水から独自の製法でシリカを抽出し、濃縮したものを再び水に戻すことで、シリカ含有用を高め、清涼飲料水カテゴリーとして販売するメーカーが登場してきたことも一因と思われる。また、水溶性珪素や植物性珪素の原料サプライヤー、製品販売メーカーの動きも鈍いもようだ。バイヤーや消費者の目も厳しくなりつつある。シリカウォーターでは、シリカ含有量が高い製品、水溶性珪素健食・化粧品では、結晶質か非晶質か、また安全性や有用性に関するエビデンスデータの有無による選択が始まっている。珪素市場はブームによる成長期から、ここ1〜2年で安定期に入ってきたものと予想される。
業界のリーディングカンパニーであるAPAコーポレーションは、珪素での機能性表示食品の届出を視野に、23年7月より新たなヒト試験を実施。24年に入り、水溶性珪素『umo®』摂取時の血圧およびストレス改善作用を確認した試験結果を論文発表した。こうした活動が評価され、同社の2024年度の原料・OEM事業は、前年比 2ケタ増を達成した。2024年度の珪素商材全体の市場規模は、本紙の取材・調査から小売りベースで300億円を堅持したと推計されるものの、企業間で業績の明暗がはっきりと分かれ、淘汰も進んでいる。つづく
詳しくは健康産業新聞1802号(2024.12.18)で
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