連載⑨【海外ヘルスケア最前線】 若者層に支持されるサプリメントの共通点は
欧米を中心に変化するヘルススケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛けるOctroll㈱・代表取締役社長の田中啓之氏が、海外ヘルスケア市場の最新動向などを紹介する。第9回目は、「若者層とサプリメント」。
先日の海外ニュースで気になる記事がありました。「コラーゲンを配合したサプリメントは美容領域で高い人気を誇っているが、北米を中心にその購買層が25歳未満の若年層に拡大しつつある」というものです。近年の“長寿”や“ホリスティック”などへの関心も高まる中、コラーゲンサプリメントは堅調な成長を遂げており、大手調査会社であるMintelが発表した消費者データによると、美容サプリメントを使用する消費者の34%がコラーゲン配合品を求めています。
ここまでは理解に足る内容ですが、この調査では、コラーゲンサプリメントの使用が若者層に広がっているという結果が報告されていました。ソーシャルメディアが主流となったこの時代に、見た目を良くしたいというプレッシャーが高まり、若者層の間で内面から外面まで総合的な美容需要が高まっていることが大きな要因である、とのこと。若い消費者は、美容や健康関連のインフルエンサーが発信する情報に大きな影響を受けており、そこで得た知識はSNSを通じて能動的に発信しています。
また、一般的に20代半ばから体内でのコラーゲン合成が遅くなり、年間1〜2%ずつ減少すると言われています。コラーゲンの合成を刺激し、将来の使用のためにそれを保存する「コラーゲンバンキング(貯金)」という概念への関心も若者層を中心に高まっています。以前にこの連載でも取り挙げた睡眠訴求のマグネシウムトレンドなども、若者を中心にTikTokなどで拡散されたことが市場を一気に拡大する背景となりました。市民権を得たグミサプリもSNS映えすることから、こうした潮流に拍車を掛けています。
若者層をターゲットとしたサプリメントであれば、消費者からの自発的な発信が期待できます。販売社側からの訴求がなくとも、健康問題の自覚やその解決策について、消費者自身で健康効果を積極的に調べるといった行動に繋がりやすいです。効率的に栄養摂取する、早い内から予防をする、という観点では、若者層へのサプリメント提案は潜在的に大きな市場であると言えるかもしれません。つづく
詳しくは健康産業新聞1802号(2024.12.18)で
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