特集【ヒト幹細胞コスメ】 美容医療からコスメ市場へ、培養液+αの複合原料で差別化進む
ヒト幹細胞コスメの市場拡大が続いている。エステなど対面を中心としたプロ用から、コロナ禍で通販にも浸透し、エクソソームが話題の近年は、DgSや百均ショップに至るまで販売が広がっている。グローバルでは、2011年より「人体細胞組織培養液安全基準」が施行され、本格的なヒト幹細胞コスメ市場の形成に着手している韓国が市場を牽引。先頃開催されたアジア最大級のビューティートレードショー「コスモプロフ・アジア2024」(主催:Cosmoprof Asia Ltd/インフォーマグループ)でも、全2,500社超の出展社中、韓国パビリオンは480社以上が出展。ブースでは、ヒト臍帯血幹細胞を使用したクリームやアンプル瓶の美容液などが人気のMAMA QUEEN社をはじめ、幹細胞由来の細胞培養液にNMN、カフェインほか7種類の植物オイルを配合して頭皮状態の改善を訴求するヘアケア新製品をアピールしたSONIMEDI社、休眠状態の幹細胞を刺激し、コラゲナーゼの活性を阻害、真皮線維芽細胞の増殖とコラーゲン生成を促進する独自成分『EMortal™』を展示したSkinCure社など、韓国メーカーによる“STEM CELL(ヒト幹細胞)”を配合した製品が盛況でコスメ大国の存在感を示した。
ヒト幹細胞培養液は、美容医療分野での活用も進む。もともと国内では、再生医療における実用化促進の法整備が整った2014年より本格的な幹細胞研究がスタート。細胞移植を伴わず、損傷した細胞や老化した細胞を修復し、組織を回復させるヒト幹細胞培養液の機能が明らかとなるにつれ、美容外科、美容皮膚科、美容クリニックなど美容医療を専門とする医療機関を中心に様々な臨床研究が進展、点滴や注射だけでなく、培養液の汎用性に着目したコスメに着目する傾向が高まっている。先頃開催された美容医療国際医学会「AMWC Japan(Aesthetic&Anti-Aging Medicine World Congress)」(主催・インフォーマ マーケッツ ジャパン)では、幹細胞療法の最新知見も報告されており、多くの研究から多種多様なサイトカイン、成長因子、エクソソーム等を含む細胞分泌物(セクレトーム)が組織保護や再生を担い、様々な疾患に対して治療効果を示すことが明らかになっている。
ヒト幹細胞培養液を化粧品原料として提供するサプライヤー各社では、ウイルスの制御が必須であるなど、細胞培養液の培養で求められる高度な安全性、安定性と共に、細胞の由来や培地、保存方法のほか、NMNやフラーレン、ビタミンC誘導体などとの複合素材で差別化を進める動きが強まっている。エクソソームについても、最終製品に表記できるよう、ヒト幹細胞培養液から単離し、独自原料としてラインアップするケースが見られる。培養に用いられるヒト幹細胞由来の幹細胞は、脂肪由来や臍帯由来、毛乳頭由来などがある。化粧品原料では、ヒト幹細胞順化培養液、ヒト脂肪由来幹細胞順化培養液、ヒト骨髄幹細胞順化培養液、ヒトサイタイ間葉幹細胞順化培養液、ヒトサイタイ血幹細胞順化培養液などが流通。日本化粧品連合会の化粧品成分表示名称リストには幹細胞順化培養液として19件が登録されている(2024年11月現在)。なお、㈱ホルスの『毛根幹細胞培養液』は、米国の世界的な化粧品団体PCPC(PersonalCare products Council)でINCI・表示名称を取得している。つづく
詳しくは健康産業新聞1801号(2024.12.4)で
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