注目の地場素材【馬の油】 新市場で台頭、 馬油製品が最脚光浴びる 

 馬食文化の残る福岡県や熊本県の伝統的なご当地コスメとして、土産物の代表格の1 つだった馬油製品。奈良時代に日本に伝来して以降、ヤケドや切り傷、アカギレなど、皮膚治療の民間薬として用いられてきた長い歴史を持つ。馬脂の不飽和脂肪酸の含有量は、ヒトの皮下脂質に近く、人肌への浸透性が抜群なことから、“全身に使える万能オイル”として重宝されてきた。化粧品素材としても有用で、馬油100%の純馬油製品をはじめ、馬油クリーム、化粧石鹸、クレンジングオイル、シャンプー・トリートメントなど、様々なアイテムが製品化されている。福岡県には、「馬油」の商標を持つ薬師堂、「こうね」の商標を持つメインをはじめ、馬油製品の製造に始まり現在は総合的な化粧品メーカーに進化したホウリンなどが本社工場を構える。熊本県には、馬油製品を中心に自然派コスメの製造販売を手掛ける肌美和が在籍する。

 

 馬油製品は、外国人観光客による爆買いの反動で、一度は厳しい時代を迎えたが、メーカー・販社の懸命の努力が結実。ここ数年は、ご当地コスメから“自然派コスメ”へと進化を遂げ、優れた保湿力に加え、人肌への親和性が見直されている。手荒れや踵のケア、マスク荒れ対策といった用途に加え、ベビーケアやペットケア、フェムケア、ヘッドスパ、ボディマッサージ市場など、新たな注目市場を掴みつつある。今年2月には久々にTVのバラエティ番組で、馬油シャンプーの全国統一史に関する放送があり、OEMメーカーの一部では、引き合いが増えているという。また最近は、αリノレン酸を豊富に含有する点を訴求し、食品やサプリメント向けの提案も進んでいる。つづく

 

 

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