【九州健康産業キーマンに聞く】 機能性表示食品、多彩な九州産素材の活用に期待

九州大学・農学研究院 

環境農学部門 サスティナブル資源科学講座 

森林圏環境資源科学研究分野 清水邦義 氏

 

 九州大学農学研究院の清水邦義氏は、機能性表示食品を目指す企業を支援する「目利き調査事業」(福岡バイオコミュニティ推進会議)に長年携わる。同氏に同事業の取り組み状況や、九州地域における今後活用が期待される機能性素材などについて話を聞いた。

 

──機能性表示食品のガイドライン改正等による注意点は

 機能性表示食品のガイドライン改正や、PRISMA2020の変更等により、これまで農研機構のシステマティックレビュー(SR)を活用する事例が多かったですが、独自にSRを作成しなければならない場合も出てきました。今後、目利き調査の延長線上として、独自の質の高いSRの作成も視野に入れて、現状に即した機能性表示食品の届出支援へとより展開しつつあると考えます。また、機能性表示食品制度が始まって10年、天然素材の分析アプローチでは、多様性と深化がみられます。一方で、紅麹問題を受けて、機能性関与成分の選定、定性・定量分析の難易度が高くなりつつあります。作用機序以上に、困難が予想されます。

 

──期待する九州産の機能性素材は

 九州には、様々な農林畜水産物があり、極めて高いポテンシャルを秘めています。一方で近年、気候変動が激しい中、安定に生産できる発酵食品や、キノコなどの人工栽培、陸上養殖などの健康素材に注目しています。なかでも福岡県は全国3位のキノコ生産量を誇ります。エノキタケ、ヌメリスギタケ(博多スギタケ)、ヤマブシタケ、霊芝など、室内栽培が可能な特色ある機能性キノコが多数あります。これらキノコを用いたヒト試験によるエビデンスに基づいた新規の機能性表示食品開発なども進んでおり、今後の展開が非常に楽しみです。また、フードロスやアップサイクル、ワンヘルスをキーワードに、SDGs対応といった高付加価値化戦略に基づいた機能性素材の活用が一層見込まれます。

つづく

 

 

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