【機能性表示キーマンに聞く】 各県大学と連携、ヒト試験のネットワーク構築へ
長崎県立大学シーボルト校地域連携センター特任教授
九州地域バイオクラスター推進協議会会長 田中一成 氏
長崎県立大学・特任教授で、九州地域バイオクラスター推進協議会の会長を務める田中一成氏。同氏に同協議会の取り組みや、九州ヘルスケア産業の方向性などについて話を聞いた。
――九州地域バイオクラスター推進協議会の国内外における活動は
九州地域バイオクラスター推進協議会(事務局:(公財)くまもと産業支援財団)は、九州各県の企業・大学・研究機関及び経済団体・自治体等の団体・個人により構成され、現在の会員数は172です。予防医学・サービス産業と連携した機能性食品・健康食品の提供による安全・安心な「フード・健康アイランド九州」の構築に向け、様々な活動に取り組んでいます。近年は、「アライアンスマッチング事業」「海外展開事業」「機能性表示支援事業」の3つの事業を中心に活動しています。
「アライアンスマッチング事業」では、九州健康おやつプロジェクトの認定商品24品の認知度向上に向けた販路開拓支援などを実施。昨年からウエルシアプラスの九州初となる店舗に認定商品を中心とした会員商品のコーナーを開設。取扱いが5店舗に広がり、毎月の売上が目標額を超えるなど、一定の成果が現れています。「海外展開事業」では、これまでの日仏連携に加え、今年度からアジアへの活動が本格化しています。特に、台湾の半導体企業・TSMCの日本進出がきっかけとなり、台湾に係る会員企業からの相談が急増。今年6月に台湾で開催された食関連の展示会に会員企業と共に参加しました。9月には、台湾優良食品発展協会と産業交流や事業連携に向けた覚書を締結。会員ニーズに沿った、海外展開・連携の成熟・多様化を進めていきたいです。
――注目している九州健康素材は
ポテンシャルの高い健康素材の1つは、大麦(β-グルカン)です。九州全体で栽培から収穫までできるので、オール九州として、新たな機能性表示食品の創出に向けた取り組みが進めば、九州全体を盛り上げることになり、競争力の強化に繋がると思います。九州の地理的特性により育まれた産物である芋類や豆類も食物繊維をはじめ、栄養価が高く、腸内環境を整え、睡眠の質や認知機能の改善、疲労回復など、現代人の健康増進に大いに期待できます。また、九州では、味噌・醤油・焼酎などの発酵食品の製造が盛んなほか、モズクやアカモクなどの海藻類を研究している事業者も多いです。「発酵」をキーワードに、産学でエビデンスデータの蓄積を進め、海外展開にも繋げていきたいです。
つづく
詳しくは健康産業新聞1800B号 別冊特別企画『九州~健康産業~』(2024.11.20)で
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