別冊【九州~健康産業~】 九州7県、機能性表示1,000品超

 豊富な農林水産資源を有する九州。青汁素材や雑穀類、ビワ、菊芋、カボス、イチゴ(あまおう)、バナナ、ブルーベリー、ライチ、オクラ、黒酢、キノコ類、藻類、馬油 ―― など、これら地場産品に健康機能を加えた特色ある機能性素材が流通する。特に青汁素材は種類が豊富で、大量生産できる環境下も強みに、大麦若葉、ケール、甘薯若葉、イグサ、桑葉、モリンガ、ボタンボウフウなどが栽培されている。“地場産品+健康機能”に着目した取り組みも具現化しており、九州地域バイオクラスター推進協議会では、九州産素材による「九州健康おやつプロジェクト」を展開。昨年からウエルシアプラスの九州初となる店舗に、認定商品を中心とした会員商品のコーナーを開設。目標売上を達成し、取り扱い店舗が拡大するなど、一定の成果が現れている。長崎県では、県内事業者、長崎県立大学などと連携して、県産の茶葉や果実を用いた付加価値商材を開発。機能性表示食品のほか、ペットボトル茶や、ティーバッグの商品化にも繋がった。今後、独自基準による高付加価値商材を認証する制度構築も視野に入れる。

 

 今回の取材で各社からは、「有機JAS認証の青汁が人気」「海外原料の価格が高止まりする中、国産原料として再評価されている」「宮崎産ライチが飲料メーカーに採用された」「自治体等と連携してブルーカーボンの取り組みを推進していく」「ペット向け製品の需要が高まっている」「韓国の取引先が好調」など、明るいコメントが多数聞かれた。九州発の化粧品では、伝統素材・馬油が有名。国産馬油は、アジアで支持が高いほか、国内では、妊婦の肌トラブルやデリケートゾーン対策など、フェムケア商品としての利用が進む。最近は、馬肉自体が“低カロリー・高タンパクな食肉”としても注目されている。

 

 健康食品や化粧品の受託加工・製造企業では、東洋新薬、森川健康堂、占部大観堂製薬、室町ケミカル、九州薬品工業、佐々木食品工業、誠心製薬、日本薬研、Have fun Factory、アダプトゲン製薬九州、高槻電器工業、ホウリン、トレミーなどが九州に工場を構える。新工場の竣工や、健康食品GMP、有機JAS、ハラルなどの認証取得、またペットサプリの受託製造を開始する企業もみられ、積極的に設備投資を進めている様子がうかがえた。

 

 九州勢の機能性表示食品の届出も紅麹問題の影響から鈍化しているものの、取り組みは継続的に行われている。九州7県の機能性表示食品の累計受理件数は、1,000品を超えた。機能性表示食品全体の1割以上を占める。受理件数が最も多い福岡県は、東京都、大阪府に続く3位となっている。トップの東洋新薬は今期、機能性表示食品の新たな届出公開を立て続けに発表。機能性表示食品のODEM(ODM&OEM)が業績を牽引し、2024年9月期決算でグループ売上高は前期比7%増の307億円となった。福岡県の受理件数が多い理由の1つは、機能性表示食品の開発などに対する支援体制が充実していることが挙げられる。福岡県では、「創薬」と「食品」を中心としたバイオ産業の育成、集積を推進。福岡バイオコミニュティ推進会議(事務局:久留米リサーチ・パーク)が窓口となり、県内事業者を対象に機能性表示食品の届出に向けた様々な支援メニューを用意している。利用した県内事業者の機能性表示食品累計受理数は250品を超える。つづく

 

 

 

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