特集【水素】 市場規模、前年比12.4％増の265億円
本紙では10月中旬から11月初旬に掛け、水素商材の主要メーカーへの訪問取材および、取り扱いメーカーへのアンケート調査を実施。43社から回答を得た。主要企業の売上高の合算および増減率をもとにした2024年通期の水素商材の市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、推計で265億4,000万円(前年比12.4％増)となり、6年連続で市場は拡大、2年連続で2ケタ成長を達成したことがわかった。ここに日本トリムやパナソニックなどがアルカリイオン整水器(電解水素水整水器)として販売する管理医療機器を加えると、450億円前後の市場規模と推計される。2024年の経営状況について、「良かった」と回答したメーカーは、昨年調査より14.6ポイント増の58.1％で、半数を超えた。また2024年に増収を達成した企業は同12.1ポイント増の75.7％だった。増収企業の内、2ケタ増収を達成した企業は同3.6ポイント増の85.7％となった。企業間での売上規模が異なるため、一概には言えないが、2024年は売上規模の大きい有力企業の中でも、2ケタ増を達成したところが多く見られた。
今回の取材から、2024年に好調だったアイテムをピックアップすると、まず、ここ数年の成長株である水素吸入器が前年比37.5％アップした。メーカー出荷金額ベースでは、昨年の約40億円から、今年は約55億円に拡大した。大型機種は医療機関や治療院などの業務用としての導入が進んでいる。医療機関も内科や外科、循環器内科をはじめ、心療内科や婦人科、歯科、眼科、睡眠外来など、広がりが見られた。また、一般家庭でも使用可能な中型タイプや卓上タイプは、小規模のエステサロンや理美容室などに業務用として導入が進んでいる。加えて、こうした施設での吸入体験を通じて、患者や会員など一般消費者への販売量も徐々に増加している。さらに、宣講販や訪販、ネットワーク販売、催事、職域などの対面販売ルートでは、コロナが完全収束したことで、コロナ前の水準まで業績が回復。体験販売イベントの開催を通じて、一般消費者への販売が進んでいる。
次に、水素サプリメントや水素フェイスマスク、水素ヘアトリートメント、水素入浴料など、消費材の売れ行きも好調をキープ。前年比で約25％伸長した。OEM企業の話では、医療機関向けに水素にNMNや5-ALAといった成分と組み合わせたサプリメントの開発ニーズ、大手・有力販売メーカー向けのOEM案件が増加しているというコメントが複数聞かれた。水素コスメは、理美容室の業務用・物販用、エステサロンの物販用を中心に売上を伸ばしている。実際、サプリやコスメに用いられる水素発生原料のサプライヤー各社の業績も、ほとんどが前年比を上回っており、なかには前年比60％増といった企業も見られた。また複数のサプライヤーから、「健康食品・化粧品の大手OEM企業から、水素発生原料のサンプル依頼も増えている」といったコメントも聞かれた。「水素分子」で初の機能性表示食品受理実績を持つ新菱では、大手企業からの水素ゼリーのOEM案件に加え、水素ガスをゲル・クリーム等に封じ込めた化粧品のOEM事業でも、有名化粧品メーカーのヘアケアブランドに、水素ヘアトリートメントが採用された。来年向けての商談も多いとのこと。
また国内市場に加えて、海外市場への展開にも注目される。今回、海外輸出実績について聞いた調査では、「輸出実績がある」との回答は、昨年調査より1.6ポイント増の58.1％だった。輸出実績のある国・地域(複数回答)は、今年もトップは中国で、台湾、米国、タイ、マレーシアが続いた。今回の取材では、スペインやポーランド、英国などの欧州地域、ドバイやサウジアラビアなどの中東地域に輸出実績を持つ企業も見られた。なかにはエジプトとの回答も。アフリカ大陸はこれまでの調査では初となる。輸出先の国・地域が世界中に拡散していることがうかがえた。多くの企業では、総売上の20％以下が海外売上だが、なかには50％以上の企業も見られた。またメーカーの中には、海外営業専門の部署を置き、積極的に海外市場への展開を進めている企業も見られた。輸出実績のある企業に今後の輸出の見通しを聞いた調査では、「さらに伸びる」との回答が昨年調査より5.5ポイント増の65.5％となっており、今後はグローバルなビジネス展開にも期待される。
2025年上期の経営見通しについては、昨年調査より4.6ポイント減の62.8％が「良くなる」と回答。「悪くなる」との回答は、昨年調査の4.3％から0に、「どちらともいえない」との回答は同8.9ポイント増の37.2％となった。6割以上のメーカーが「良くなる」と回答しており、2025年上期も引き続き、各社堅調に推移しそうだ。水素商材市場は、2016年以来となる300億円市場の大台が、いよいよ射程圏に入っている。つづく
詳しくは健康産業新聞1800号(2024.11.20)で
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