特集【兵庫県】 ヘルスケア産業で存在感示す
兵庫県は、歴史や風土などの違いから、摂津(神戸・阪神)、播磨、但馬、丹波、淡路の5地域から成り立ち、重工業や醸造業、食品加工業、農林水産業など様々な産業が発展してきた。製造業の出荷額は、全国5位で“ものづくり県”としても知られる。県では、県産農林水産物を活用した新商品や新サービス等の開発に取り組むスタートアップ企業を支援。ここ数年は、「丹波黒豆の高ポリフェノール含有に着目した簡易摂取型食品の開発」「福崎町もち麦『フクミファイバー』を使用し、機能性と利便性に優れたパウダーの開発」「地理的表示保護制度(GI)を取得した佐用もち大豆を活用したフリーズドライ大豆の開発」などが採択されており、付加価値商材の創出と共に、地域ブランドの育成を図る。
また、県産農林水産およびこれらを主原料とした加工食品を対象に「ひょうご食品認証制度」を実施しているほか、「兵庫版HACCP」認定制度に取組んでいる。機能性表示食品の開発は活発化しており、県内事業者による累計受理件数は240件を超える。地場産品では、淡島産の生鮮タマネギ(機能性関与成分:ケルセチン)や、もち麦を用いた加工食品(同成分:大麦β-グルカン)などが受理されている。『もち麦うどん』『もち麦パスタ』を販売するマルヤナギ小倉屋は、「県産もち麦を広めることを目的に商品化した。県内スーパーを中心に順調な売れ行き」だという。
健康産業に携わる県内有力企業の活動をみると、姫路市に本社を構えるヤヱガキ醗酵技研は、FSSC22000認証工場で清酒発酵技術を応用した麹、酒粕関連の機能性素材などを供給。『ショウガ麹』を用いた自社サプリメントで機能性表示食品を受理しており、機能性表示対応素材として提案を進めている。姫路市、たつの市は、にかわ(膠)製造が盛んだったこともあり、ゼラチン・コラーゲンペプチドの製造を手掛ける事業者が点在する。明治17年創業の旭陽化学工業は、原料調達、原料種類の選定から最終工程まで国内唯一の一貫生産体制を構築。コラーゲンペプチドの供給量は、年間約3,000tでトップクラスを誇る。オリジナル素材・商材では、日本薬用食品研究所が、特許に基づく『茶花の抽出エキス』の原料・OEM供給を展開。松谷化学工業は、希少糖の一種であるアルロースの高純度結晶品『ASTRAEA(アストレア)』の供給に注力。機能性表示食品対応素材として大手飲料、食品メーカーなどに採用が進む。受託加工分野では、日本ランチェスター工業、ビーエイチエヌ、ファイン、大円食品工業、太邦、長田産業、タジマ食品工業などが県内に工場を構える。つづく
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