特集【ペットサプリ】 エイジング・高級化・海外展開に舵取り

 (一社)ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2023年新規飼育頭数は、犬が39万7,000頭で前年比7%減となり、猫が36万9,000頭で前年比15%減と2年連続減少が続いている。コロナ禍の第三次ペットブームに一服感が出てきた。一方、同調査によると、「犬への1ヵ月当たりの総支出額は1万6,156円」と、5年前の1万2,594円から28%増加、猫も7,962円から1万171円で27%増となり、1頭当たりに掛ける費用は、年々増加傾向となっている。犬猫の高齢化も進み、犬の平均寿命は14.62歳で2010年比+0.75歳、猫は同15.79歳と+1.43歳と伸長している。実際、犬猫をコンパニオンアニマルと呼び、家族同然に長い年月を過ごし、費用を惜しまない飼い主も多い。

 

 ペットのQOL向上、高齢化により、ペットサプリでは、症例に合わせた機能性素材が利用されるようになっている。犬が、人間と同じ生活空間で食生活することで、アトピー性皮膚炎や腸内環境悪化に悩むケースなども増えているという。また、アイケア、筋肉サポート、口臭対策向け、エイジングケアサプリメントの需要も増えている。ペットサプリメント市場は、2021年頃のコロナ禍から注目され、現在も拡大傾向にある。富士経済によると、2023年のペットサプリメントの市場規模は、前年比9.5%増の100億640万円としている。

 

 今年4月に開催されたペット製品の展示会では4日間合計で約6万7,000人が来場。前年比7.2%増となり、関心の高さがうかがえた。大半はペットフードや雑貨の展示で占める一方、1割程度は乳酸菌やグルコサミン、ルテインなどを配合したのペットサプリメントを提案する企業も見られた。おやつに機能性原料を配合するものや、ふりかけタイプのものなどペットが食べやすい剤型の開発も進んでいる。いなばペットフードの『CIAOちゅ~る』の席巻により、ペットサプリのOEMに対応する健康食品受託メーカーからは、三方スティック入りペーストの製造依頼が、ここ数年通続いているという声も聞かれた。

 ペットサプリメントの原料は、乳酸菌、冬虫夏草、クリルオイル、グルコサミンなどの定番品に加え、NMN、LPS、CBDなどの新規原料の利用も増えている。都内で行われた動物用医薬品の展示会ではCBDの原料メーカーが出展し、「製薬メーカーからの引き合いもあった」という。さらに、口臭予防やオーラル向けには、マスティックを配合したサプリメントが動物病院での取扱いが増えている。最終製品の主な販路は、獣医ルートやペットショップ、トリミングサロン、ネット通販などで利用が進んでいる。獣医師は、サプリメントに理解を示す人も多く、エビデンスや臨床研究次第で、積極的に採用する動物病院も増えているという声も聞かれた。つづく

 

 

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