特集【プラセンタ】 エクソソーム切り口に、市場は上昇機運

 プラセンタは、長い食歴と体感性の高さから、健食・化粧品共にコラーゲンやヒアルロン酸に並ぶ人気素材となっている。動物の胎盤を扱うことから、お産の受け入れ態勢、その後の殺菌・消毒・保管・抽出まで徹底した管理が求められ、高価格帯の原料に位置付けられている。ブタ・ウマの原料価格は3万円台から20万円台程度と各社の生産体制・抽出方法によりまちまちだ。本紙が今年6月に実施した健食受託メーカーへの調査で、プラセンタは「2024年下半期の人気受注素材」で8位にランクイン。10月に開催された「食品開発展2024」でもプラセンタ関連商品を出品していた企業は10社を超えた。

 

 ブタ・ウマ由来の安定的な人気に加え、目を引いたのが「エクソソーム含有プラセンタ」だ。エクソソームは、細胞から放出される50nm程度の小胞体。タンパク質で形成されており、生体内の優れた伝達物質と知られ、「美肌」などエイジング原料として4~5年ほど前からブームとなっている。一丸ファルコスやホルスらは、プラセンタのエクソソームを研究。「エクソソーム含有プラセンタ」として原料提案している。最終製品では、2022年頃からFRACORAがサプリメントに利用始めたことが話題に。大手エステサロンのグラツィアもエクソソーム入りプロテインを発売するなど、美容系ブランドからジワリと広がった。その他、パイナップルのプラセンタ様物質からエクソソームを確認し規格化へと動き出す企業、「エクソソーム○○億個!」など数を強調する企業等、新たな切り口によるプラセンタ原料の提案が進む。

 

 プラセンタのエビデンス研究の幅も広がっている。機能性研究を進めているスノーデン、ホルス、佳秀工業らはヒト試験による保湿効果、睡眠の質改善、更年期障害のサポートなどの中高年女性向けのエビデンスを積み上げている。これらエビデンスが機能性表示食品の受理に繋がってはいる例は多くはないが、佳秀工業が「ブタプラセンタ由来ジペプチド」を機能性関与成分に、肌の保湿力を謳うサプリメントを受理している。さらに今年、女性のメンタルヘルスに関する査読付き論文も発表。新たな訴求で、機能性表示食品の届出準備を進めている。また、三共バイオケミカルズは、ウマプラセンタで、睡眠の質改善や滋養強壮をテーマとした研究開発に着手するなどエビデンス研究を行う企業は増加傾向となっている。

 

 一方、動物由来のプラセンタの販売自体が禁止されている国や、大手化粧品メーカーは4つ足動物原料を避ける傾向もあることから、「プラセンタ様」成分の活用も進んでいる。受精が行われる胎盤や胎座に着目したプラセンタに似た作用の研究も着々と進んでいる。日本バリアフリーは、サケ卵巣膜由来のプラセンタ様成分『マリンプラセンタ®』で、「冷え」「眠り」などのエビデンス研究を進めている。ハラール対応原料としてブタが禁止されているアラブ諸国への輸出が順調という。ホスミン栄養化学工業グループのプランドゥシー・メディカルは、産学官連携でパイナップル由来のプラセンタ様成分を開発。「植物プラセン」「フルーツプラセン」で商標も取得し、化粧品として展開。SDGs原料としても注目されている。これら、イメージの良さに加え動物由来にはない機能性で利用が進む。つづく

 

 

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