特集【オーガニック&ナチュラル】 有機農業拡大、世界的潮流に
世界のオーガニック食品市場は約22兆円――。「The World of Organic Agriculture 2024」(FiBL&IFOAM)の統計でわかった。市場規模のトップはアメリカの約10兆5,000億円。次いで、ドイツ、中国、フランス、カナダと続く。1人当たりの消費額トップはスイスの437ユーロ(約7万1,000円)。オーガニックの割合が最も高い国はデンマーク(12%)だった。「日本の市場成長率はトップのカナダ(9.7%)に次ぐ8.4%となった」。こう語るのは国際有機農業運動連盟IFOAM・世界理事の三好智子氏。高い成長率を示す日本は世界での存在感を増しているという。オーガニックを語る上で欠かせないのがアメリカ市場だ。「全家庭の82%がオーガニックを買ったことがある」「フルーツの14%以上がオーガニックで作られたもの」「オーガニックの輸出業、投資リターンは5283%」といった調査結果も。三好氏は「有機農家は一般農家より35%利益が高く、小規模、女性、若い人も新規参入しやすい」と説明する。
世界における有機農業の栽培面積は、前年比26.6%増の9,640万ha。農地面積の2.0%を占めている。有機農地面積の最も大きい地域はオセアニア(オーストラリア含む)。世界の55%に当たる5,320万haとなっている。有機農業生産者は前年比25.6%増の450万人となった。日本の有機農場も拡大傾向にある。2022年の有機農業の取り組み面積は前年比14%増の3万300haに(農水省調べ)。初の3万ha超となった。22年スタートの「みどりの食料システム戦略推進交付金」の効果が表れている。
GOOD LIFE フェア 2024セミナー「オーガニック市場への挑戦:プロが教える成功の秘訣」(主催:朝日新聞社)が10月25日に開催され、オーガニック市場のトレンド、定義、価格をテーマとするトークセッションが行われた。オーガニック市場のトレンドについて、アグリシステム代表取締役社長の伊藤英拓氏は、「有機に転換する雑穀農家が増えている。4年前の有機農家は500件中26件だったものの、僅か3年で52件に増えた」と指摘。その背景には農家の危機感があるという。「化学肥料や農薬の約98%が海外に依存している。価格が高騰する昨今、安定的な仕入れの見通しもつかない。経営的リスクを感じる農家が多く、国内で循環できる有機栽培に可能性を感じる農家が増えてきた」という。つづく
詳しくは健康産業新聞1799号(2024.11.6)で
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