特集【ウコン】 関節ケア・抗疲労・美容市場にアプローチ、市場拡大の兆し

 今回の本紙集計では、新型コロナウイルスの感染拡大、外出自粛による飲酒機会・交流の減少などを背景に、2021年の調査では200億円を割り込んだウコン市場は、ピーク時の8割強となる250億円まで回復したことがわかった。要因として、市場の大部分を占めるドリンク製品の盛り返しがある。ハウスウェルネスフーズ(ウコンの力)、ゼリア新薬工業(ヘパリーゼ)の2強の販売状況は総じて好調。両社とも、新商品を投入し、次世代ユーザーの開拓に舵を切る。

 

 ハウスウェルネスフーズでは「ウコンの力」シリーズの累計販売量が15億本を突破。発売20周年の節目を迎え、次の世代に向け、新成分を配合した『ウコンの力 AFTER』を上市した。20〜30代をメインターゲットにした新商品で、「従来品が飲食前に利用されるケースが多かったが、『ウコンの力 AFTER』は会食後でも手に取って貰えるように」と思いを込める。11月からお笑い芸人のアンタッチャブル・山崎弘也氏を起用したWEB広告動画配信をスタートするなど、攻勢をかける。ゼリア新薬工業では、「ヘパリーゼ」ブランドの全体売上(2024年3月決算)は110億円の2ケタ増に。うちCVS向けの清涼飲料水・栄養補助食品は51億円と堅調に推移している。10月には、清涼飲料『ヘパリーゼWシャイン』を新発売。肝臓エキス、ウコンエキス、ローヤルゼリーのほか、シリーズ初となるコラーゲンペプチドを新配合した。

 

 日本では「アルコール・二日酔い対策」「肝機能対応」の認知が市場に定着しているウコン。海外では、ハングオーバー(二日酔い)対策素材としてのウコンの認知度は極めて低い。海外で最もポピュラーな機能性は抗炎症作用であり、関節痛対策・美容・脳機能を訴求するサプリメントや一般食品、医薬品に応用されている。ウコンの主要成分であるクルクミンは、本場インドでは“天然のステロイド”と称され、欧米では、抗炎症作用を活用した美容・アンチエイジング、ジョイントサポートサプリメントが数多く流通している。ウコンの輸出を手掛ける大手商社によると、「日本では抗炎症素材として、海外ではハングオーバー対策素材として、ウコンの伸び代はある。実際、海外からの問い合わせが増えてきている」としている。

 

 抗炎症作用を介した機能性は幅広い。美容・関節炎対応・アレルギー対策をはじめ、フェムケア・スポーツ・ダイエット市場へのアプローチが可能だ。そのため、原料サプライヤー各社では、抗炎症作用に特化した原料開発や、バックデータの蓄積を積極的に進めている。ウコン単体での研究のほか、美容ではコラーゲン、セラミド、関節対策ではグルコサミン、プロテオグリカンなどとの相乗効果研究を推進。大型市場へのマーケットインを狙う。併せて、クルクミンの高吸収で差別化を図る原料や新品種開発、白ウコン、クスリウコンなどの新規ウコンの提案が活発化するなど、原料バリエーションが広がりをみせている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1799号(2024.11.6)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら