特集【新潟県】 健ビ協、異業種コラボ加速

 新潟県では全国トップクラスの健康寿命を実現するため、「健康立県」というスローガンを掲げた取り組みを進めている。今年は女優・ヨガインストラクターの松本莉緒氏をアンバサダーに起用し、SNSなどの情報発信を強化している。県庁における健康経営は今年10月、花角英世県知事が全庁を挙げて取り組むことを宣言した。県庁が率先して健康経営に取り組むことで、県内企業の健康経営推進に寄与していきたいとしている。産業界では、異業種横断型の経済団体「(一社)健康ビジネス協議会」の取り組みが今年で15年目を迎えている。会員同士のビジネスマッチングやセミナー開催などを実施。

 

 ものづくり部会ではこのほど、アパレル業界と建設業界のビジネスマッチングに成功した。腰痛対策ウェアの開発では、40人の試着による商品改良をサポート、来春の商品化をアシストした。同協議会・常任理事の佐々木稔氏(元新潟県佐渡地域振興局長)によると、「腰痛は建設業に働く人のみならず、介護職に従事する人など幅広い業種の方々の健康課題でもある。今後の用途提案にも期待したい」という。同協議会の取り組みは県外企業からも注目を集めており、今年は愛知県の企業からも入会申し込みがあった。

 

 独自の認証制度は「水性印刷商品認証制度」「おもいやり災害食認証制度」「高圧加工食品認証制度」を展開している。水性印刷商品認証は、包装資材を“100%水性インキ”で印刷する商品に認証を与えるもの。作業従事者の印刷環境改善によって健康維持を促進するほか、揮発性有機化合物の排出削減による環境対策としても注目を集めている。おもいやり災害食認証制度は、食品の栄養や食形態に配慮した災害食を認証するもの。①低たんぱく質、②アレルギー対応、③性状・形状調整、④水分・電解質補給サポートという4つの認証マークを段ボールや個別包装に表示。災害時のボランティアでも理解しやすいことや、災害時要援護者に素早く支援物資を届ける工夫を凝らしている。

 

 今年1月の能登半島地震では、会員企業の災害食を現地に届けるなど、災害時の健康管理まで捉えた活動に取り組んでいる。「災害時における地域の避難場所も兼ね備えた物流センターの建設が始まっている」こう語るのは、同協会代表理事 会長(ブルボン代表取締役社長)の吉田康氏。災害備蓄食を物流倉庫にローリングストックし、効率的な防災拠点機能とする企業とも協働していきたいという。さらに、「今年1月の能登半島地震では、土砂崩れなどによる道路寸断の影響で、支援物資の調達が困難を極めた。物流輸送についてもイノベーションを生み出す時期に来ている」と指摘。「水害などに強い輸送車開発も求められるため、自動車産業の人たちとも一緒に取り組んでいきたい」としている。

 

 健康ビジネス協議会が認証するおもいやり災害食商品は、亀田製菓㈱が供給する「ふっくらおかゆシリーズ」等がある。同社執行役員 研究所長の髙橋肇氏によると、「南海トラフの一部割れの報道後、備蓄需要が急激に増えた。おかゆ製品の引き合いは年々増えており、医療機関を中心に増加傾向にある」という。今後の展開について、「すぐに食べられる即食商品や、災害時に必要な栄養素を強化した商品の開発に注力していきたい」としている。つづく

 

 

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