特集【CBD】 市場再構築 へ一歩前進

 CBD関連製品および原料のTHC残留上限値の新基準が注目される中、厚生労働省は 9月11日、「大麻取締法関連を改正する法律」を公布した。政令では、①原料となる油脂・粉末が10ppm、②ドリンクなどの水溶液0.1ppm、③それ以外は1ppmと定められた。また、10月4日には厚労省より具体的製品例が公表された。施行期日を今年12月12日とし、監麻課はこの日までに現行の製品を適切に処理する旨を事業者に通達した。結果的に、5月の政令案と大きな変更はなく、厚労省側では、「食品として普及すると長期的に相当量の摂取によるTHCの過剰摂取・蓄積による健康被害の可能性もある」「CBD関連企業の中にはルールを守らない企業がいるために明確なルール作りが必要だった」と話す。

 

 違反を犯す企業が減ることは歓迎できるが、優良な製品を販売する企業が撤退し必要としている人が困ることが危惧される。ある事業者は、この現状に「一旦市場がなくなる焼け野原状態。しかし、一部の企業は残り大手を含む新規参入も増え着々と成長が形成される」と予想する。今後、ティンクチャーオイルなどに使われていたブロードスペクトラムは新基準に合わせるのが難しく、アイソレートを中心とした製品が市場に出回ることが予想される。また、これまで成熟した茎・種子のみしか利用が許可されなかった原料は、大麻草の花穂や葉も利用できるようになり効率的な原料抽出や大麻栽培の活用も期待される。

 

 潜在的に200億円とも言われていたCBD市場は、5月の政令案発表を境に、成長は鈍化し縮小している。実際、伊勢丹や高島屋などの売り場では、ブランドメーカーのオイル品などの食品は、売り場から姿を消した。各社、新基準に合わせるために、現行品のみを販売し、新たな製造はストップしていることが要因だ。ネットおよびリアル店舗のCBD専門店に「臨時休業」という文字もその現状を表している。一方、首都圏に5店舗を 展開するCHILLAXY CBD SHOP&CAFEは、5月以降も変わらず売れ続けているという。長年の愛用者が安心して購入しているというが、ブロードスペクトラムのオイル品は欠品していた。

 

 日本CBD協会の川満社長は「当時より原料1ppmの基準値で提供してきたこともあり、今は問い合わせだけは増えている」などの声が聞かれた。こうした中、大正製薬は9月、『CBD Taisho』を発売。まだ大きな動きはないが問合せは多いという。CBD1粒2mgと少量ながら大手参入のニュースはインパクトを与えた。大手ドラッグストアに販路を抱える大木ヘルスケアはCBDメーカーのワンインチと業務提携を行い、ドラッグストアなど一般流通の普及に向け、取組を始めた。日本ヘンプ協会は 9月、国内初となる国際カンファレンスを開催。ヘンプの研究者や医師などアカデミアからの参加が多くCBDの新たな分離方法の紹介、臨床試験の発表などがあった。海外から研究者の参加も多く日本市場への期待が感じられた。また、CBDジャーニーは新たなテーマのもと今年も開催が決定されている。来年2月に開催される「健康博覧会2025」でも、新基準に合わせたCBDメーカーが多数出展予定するなど、2024年度後半からCBD市場が一気に動き出しそうだ。

 

 残留限度値と共に国内分析機関が注視されている。現状、THCは大麻取締法で施用が禁止されているため国内では分析ができず、国外の第三者機関で分析されていた。法改正と共に、厚労省は、国内でもカンナビノイドの分析がきるように法整備を進めている。許認可制ではなく届出制となるようだが、HPLCとLC-MS/MSを使い麻薬研究者免許取得者による検査が基準となる予定。現状、CBDおよびTHCの分析できる機関は、Anresco、ユーロフィン、KCALabなどいずれも海外に拠点を置く機関だが、国内でも分析できる拠点を置く。また、外資以外の分析機関も水面下で動いている。これらの機関は、監麻課とも連携を取り、測定方法について情報交換を行っている。今後、検査方法、機関名などは厚労省のホームページに順次公表される予定だ。つづく

 

 

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