特集【四国企業ガイド】 柑橘類・オリーブなどの機能性研究が進展

 四国の面積は、国土全体の5%にも関わらず、柑橘類やオリーブ、ナス、洋ランなど、全国1位の収穫量を誇る農産物も少なくない。これら農・海産物由来の機能性食品等を集結し全国へ発信すべく、2017年には四国独自の民間認証制度『四国健康支援食品制度(愛称:ヘルシー・フォー)』を開始している。事務局を務める(一財)四国産業・技術振興センター(STEP)では、会員の勧誘から会員企業同士の情報交換の場の提供、販促活動など、様々な支援を行っている。『ヘルシー・フォー』は、食品の安全性・機能性に関する「科学的な根拠の存在」を表示し、消費者の健康づくりに寄与することを目的としている。四国内で製造された機能性素材を配合した食品を対象としている。現在、47社が加入、14製品が「ヘルシー・フォー認証食品」として認証されている。

 

 また、2021年からは四国の食品や素材を紹介するBtoBのマッチングサイト『ヘルシー四国』を立ち上げ、運営をSTEPが行っている。『ヘルシー四国』は、四国を中心とした食品原料や製品・サービスを掲載、全国の企業へ発信し、企業間マッチングを行える仕組みとなっている。登録料は無料となっており、登録企業の販路拡大や四国の機能性食品の認知向上を後押ししている。STEPでは、さらなる会員企業の勧誘やヘルシー・フォー認定食品の知名度向上を目指し、様々な展示会等にも出展している。10月23日開幕の「食品開発展2024」にも出展し、『ヘルシー・フォー』の取組内容や認定食品、会員企業のPRを実施した。

 

 瀬戸内海に面した愛媛県と香川県は、降水量が少なく、温暖な気候を活かし、農業や漁業が盛んなエリアだ。愛媛県の柑橘類生産量は、長年全国1位を維持している。健康食品の研究も盛んで、愛媛大学では2023年に食品健康機能研究センターを設立。産学連携による機能性研究などを推進している。えひめ飲料は、愛媛大学と連携して河内晩柑の機能性研究を展開。河内晩柑の有用成分である「オーラプテン」を機能性関与成分とした機能性表示食品が受理された。認知機能訴求の飲料として販売している。調味料製造で全国に販路を持つ仙味エキスは近年、健康食品分野の研究も強化。イワシ由来の「サーデンペプチド」は、血圧分野でトクホや機能性表示食品の原料として、大手から中小まで幅広く採用が進んでいる。

 

 香川県は、全国最小の面積ながら、オリーブや小麦が全国1位の生産量を誇る。瀬戸内海の小豆島や三豊市などでは年間500tを超えるオリーブが生産されている。大倉工業はオリーブ葉由来の「ヒドロキシチロソール」の機能性研究を行っている。また、四国経済産業局やSTEPの本部があることからも、経済面や機能性研究で四国をリードする。機能性研究では、香川大学が希少糖研究を推進。同研究をもとに、松谷化学工業では自社原料『アルロース』を開発。機能性表示食品の受理数は30品を超える。さらに、高松市内にはアガリクスや霊芝、チャーガなどを供給する老舗のキノコサプライヤーのチハヤやたるほ産業が本社を構えている。

 

 太平洋に面した徳島県と高知県は、降水量が多いエリア。スダチ、レンコン、洋ランの栽培が盛んな徳島県では、池田薬草が徳島大学と共同研究の下、スダチ果皮に含まれるポリフェノール「スダチチン」の研究を展開。最終製品『スダチン』は、「ヘルシー・フォー認証食品」の認証も取得している。機能性原料サプライヤーのエヌ・シー・コーポレーションはミネラル素材ほか、乳酸菌、青汁原料などを供給する。高知県は、全国有数のショウガとナスの生産地。坂田信夫商店やあさのなど、ショウガの有力サプライヤーが本社を構える。つづく

 

 

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