特集【奈良県】 漢方応用食品の素材研究や販売促進活動を推進

 奈良県では、2012年から地場にゆかりの深い“漢方”を活かす取り組みを推進。近年の高齢化や医療費削減に寄与する予防医学について、地場産業である漢方や配置薬業のノウハウを活用し、新たな商品・サービスの創出を目指している。今年度より、従来の『漢方メッカ推進プロジェクト』は、『奈良県漢方推進業議会』に名称を変更。薬草栽培から製薬・食品メーカーおよび外食産業関連事業者、大学・研究機関ら163企業・団体(8月6日現在)による交流を促進し、広く漢方の周知と普及を図る団体として新たなステージを迎えた。薬用作物の安定供給を軸に、大和トウキ配合のドリンク開発をはじめ、素材探索や機能性の研究、健康食品や化粧品の製品化などは従来通り継続していく。

 

 奈良県産業振興総合センターの研究シーズ(2024)では、奈良県産シャクヤク未利用部位の抗菌性素材利用の可能性を示唆するほか、大和橘の葉の食品材料としての活用として、柑橘類特有の特徴的な香りと共に、タンパク質やミネラル成分で栄養強調表示が可能なものが多いことから、健食・化粧品・医薬部外品としての活用を示唆するなど、新たな研究報告も見られる。シャクヤクとキハダについては、これまで奈良県産シャクヤク花中の機能性成分の評価として、シャクヤクの根に含まれる有用成分が、花にも含まれることや、抗酸化能が高く、血圧上昇抑制作用がある点などが報告されている。一方、キハダについては、食利用の可能な葉と実の有効活用を検討するため、栄養成分の分析を実施したところ、葉については、カリウムとカルシウムが栄養強調表示栄養機能表示可能な含量を有し、ビタミン、ルテイン、β-カロテン、α-トコフェロールの含有量が高く、アイケアや抗酸化、血流改善の期待できる素材であることを確認している。香気成分では、実の柑橘香や緑葉香を利用できることや、葉の血圧上昇抑制効果から、今後、キハダの葉と実の製品展開にも期待が持てる。

 

 奈良県の重点作物のひとつである大和トウキについては、専用の総合情報サイトで情報を発信している。サイトでは、“根は薬、葉は食す”をテーマに、生葉の薬膳料理や、乾燥葉の健康茶など様々な情報発信と共に、大和トウキを活用した商品も随時追加掲載している。配合ドリンクには、田村薬品工業の『ONSAI温彩』や、従来品に新たにクラフトコーラやゼリーを追加した金陽製薬の「Angelica」シリーズなどがある。県内での認知度は高く、県主催販売会の定番アイテムとなっている。クラフトコーラについては、奈良県で唯一の真空乾燥固液分離技術を有する清栄薬品が各種製品開発・OEMを展開。「大和トウキをはじめ、各種の健食素材エキスや規格外農産物などSDGs訴求の新商品開発で引き合いが増えている」という。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1797号 (2024.10.2)で
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