特集【注目の人参素材】 免疫対策・フェムケアなど新分野や副材利用拡大
高麗人参の市場規模は2010年以降、200〜250億円で推移してきた。通販企業が定番サプリの1つとしてラインアップするほか、ドラッグストアがPB商品化するなど、健康食品としての「高い認知度」「流通実績」を武器に、底固い市場を形成。今回の集計では、副素材として採用されているサプリメントも含めると、300億円の大台到達が見える。市場拡大の兆しが顕著に見えてきたのは2020年以降。コロナ禍の免疫対策素材として評価され、通販ルートで販売量を伸ばした。時を同じくして、フェムケア素材としての高麗人参の市場形成が進み、女性をターゲットとした美容サプリが数多く登場した。『くらしの和漢 高麗人参+(プラス)サプリメント』(永谷園)、『高麗人参ミルクティー』(オルビス)、『フローナエクオール』(メタボリック)など。近年では、ジンセンベリーと6年根の発酵紅参を配合した美容サプリ『Age Well』、料理研究家慣監修の『高濃縮紅参サプリメント J's Kami高麗』など、TVショッピングルートを中心に、ブレイクする高麗人参配合商品が目立つ。後者は、QVCジャパンの1日のTSV史上最高売上(2020年11月末時点)を記録するヒット商品となった。
日本で流通する高麗人参原料は、韓国産・中国産が大半を占め、水耕栽培品のベルギー産(べーガン通商)の流通も本格化している。その内、サプリメント原料として最も多く流通するのは「紅参」。「発酵」「熟成」「膨化」「CD包接化」「低温真空乾燥」などの付加価値原料や、有効成分・ジンセノサイドやコンパウンドK(サポニンの代謝物)を高含有化させたハイグレード原料、汎用性(呈味性、水溶性など)を高め、「そのまま摂取できるおいしい紅参」など、“次世代型高麗人参”原料の開発・提案が進んでいる。根茎とは異なるサポニンを含む「ジンセンベリー(オタネニンジン果実)」にも注目が高まっている。“一生に一回しか実らない希少な果実”というストーリー性も商品の高付加価値化に繋がっている。
アメリカ人参は、ジンセノシドを豊富に含み、なかでも多く含まれるRb1の中枢神経抑制作用は、ストレス緩和や疲労回復などに有用とされる。高麗人参と同じウコギ科のトチバニンジン(Panax)属だが、種が異なり、漢方的基本性質として高麗人参は「温」、アメリカ人参は「涼」に区分される。エビデンスとしては、運動による筋損傷抑制、免疫賦活作用、血糖値抑制作用などが確認されている。更年期症状や月経前症候群の緩和など、「女性用の滋養強壮素材」としてフェムケア市場での可能性が注目されており、差別化を図る複合素材としての新規採用も拡大している。「疲労感軽減」「一時的な不安感の緩和」を訴求した機能性表示食品も登場しており、さらなる製品開発が予想される。また、田七人参は、標高の高い中国・雲南省や広西省のごく一部の過酷な環境下でしか栽培できず、中国では、「金不換(きんふかん:“金にも換えがたい”の意)」と称されるほど希少価値の高い原料として認知される。健康食品では、更年期対策、疲労軽減などで新たなエビデンス構築が進む。機能性表示食品では、血糖値の上昇抑制を訴求した受理品を中心に、複合素材としての採用も見られる。つづく
詳しくは健康産業新聞1797号 (2024.10.2)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら