「第13回日本分子状水素医学生物学会大会」、100人強が参加
(一社)日本分子状水素医学生物学会(事務局:東京都板橋区)主催による「第13回日本分子状水素医学生物学会大会」が9月21日、都内で開催され、医療関係者や関連事業者など103人が参加した。今回の大会は、「分子状水素の臨床実装に向けて」をテーマとし、一般演題に加えて、「有効と無効とを考える」と題したシンポジウム、「臨床応用への課題」と題したパネルディスカッションが行われた。大会長は、東京歯科大学教授の鈴木昌氏が務めた。
「有効と無効とを考える」では、医学生物学的知見は、有効性のみならず、無効であることも含めて、理論的に理解することが必要であると指摘。臨床実装を考慮した場合、分子状水素をどのような状態に、どのようにして、どの程度投与すると、どのような効果を発揮するのかを明確にする必要があるという観点をもとに、各発表が行われた。ここでは、水素ガス吸入により酸化還元電位(ORP値)が低下する対象者の特徴は、ベースラインのORP値が高い人だったという事例や、水素水の飲用ではアトピー性皮膚炎(AD)モデルマウスのADを含むアレルギー疾患を抑制するデータがあるものの、水素水入浴では十分に有意差が見られなかった事例、水素水の引水により分泌されたグレリンが、がんの種類によっては、がん細胞のグレリン受容体の発現亢進となるケースがある事例などが報告された。疾患により、分子状水素を体内に取り入れる方法や、適正な水素濃度が異なる可能性を示唆する発表など興味深い内容が相次いだ。
「臨床応用への課題」では、分子状水素を臨床実装する上で、対象病態、投与方法の実際、薬理学的評価など、良質な臨床試験を行って実証する必要があると指摘。そのために必要な事項、実際に実施前・中・後の臨床試験で経験した課題や対応策の共有を目的に行われた。ここでは、水素を基礎研究から臨床研究に移行する際には、法規制や臨床試験設計、倫理審査など様々な障壁が存在する点が語られた。分子状水素の臨床試験の場合、サプリメントや食品であっても、臨床研究法に基づく「特定臨床研究」に該当するケースが考えられる事例、混合診療との棲み分けなどの課題、水素ガス吸入装置を医療機器として開発する際のプロセスなどについて、各演者による対応策などが発表された。つづく
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