特集【毛髪・頭皮ケア】 多様化するニーズ、対応アイテムが続々上市
経済産業省の生産動態統計調査によると、2023年の「頭髪用化粧品類」の国内販売金額は、前年比7.9%増の3,640億9,331万円だった。また、厚生労働省の薬事工業生産動態統計調査によると2023年の「薬用シャンプー・リンス」の国内生産金額は前年比0.4%減の486億4,631万円。ヘアケア製品は4,000億円を超える一大市場を形成している。市場を牽引するのは、1,000円以上の中高価格帯のシャンプー・トリートメントだ。I-neの『BOTANIST』『YOLU』、コスメカンパニーグループのヴィークレア『&honey』といった新興ブランドが季節商品を交え、ECサイト、セレクトショップ、ドラッグストアで販売を伸ばしている。追随するように、大手ドラッグストアもPB品を販売するに至り、花王も4月に新ヘアケアブランド『melt』を上市するなど、同市場は依然として盛り上がりを見せている。
一方、製造時の水使用量が少なく、ボトル容器も使用しないことから、SDGs推進の昨今に台頭してきたのが固形シャンプー(トリートメント)だ。海外ブランド製品が中心だったが、ここ数年で国産品が徐々に増加し、昨年には、国内大手の牛乳石鹸共進社が市場に参入。バラエティショップを中心に販売を展開している。洗い上がりの悪さが課題であったが、テクスチャーが改善されたアイテムが増加したことをきっかけに利用者が増えている。また、コロナ収束後、外出機会が増え、ヘアスタイルのトレンドも変化。美髪・黒髪から、ハイトーンカラーがトレンドとなり、ヘアカラーに伴うダメージ対策や色落ち防止に着目したアイテムが、各メーカーから上市されている。ヘアトリートメントよりも髪の内部を補修するヘアパック(マスク)やカラーキープシャンプーなどアイテムの細分化が進んでいる。このほか、アホ毛対策のヘアマスカラやタイパを目的としたヘアオイル、ヘアミルクなどのアウトバス製品や、水なしで髪を洗えるドライシャンプーなど、ライフスタイルに合わせたアイテムが続々上市されている。
厚生労働省の薬事工業生産動態統計調査によると2023年の「育毛液剤」の国内生産金額は795億円。市場では、ファーマフーズの『ニューモ育毛剤』が累計販売数2,700万本を突破(2024年6 月時点)。好調を維持している。アンファーは、有名格闘家を起用したプロモーションなどにより、『スカルプD』シリーズの拡販が奏功している。『チャップアップ』シリーズを展開しているソーシャルテックも宣伝活動を活発に行っている。化粧品受託メーカーの話では、「育毛剤のOEM案件は順調」といい、今後、メガブランド以外の商品開発も引き続き活発な模様だ。一方、体内から髪や頭皮にアプローチするサプリメントも堅調な市場を形成。ハリ、コシ、ツヤ、ボリュームなどの美髪を求めるユーザーや、産後脱毛症に悩むユーザーなどに向けた製品がEC、美容サロン、クリニックなどで販売が進む。機能性表示食品では、ヒハツを関与成分に血流改善を含むヘルスクレームで同分野にアプローチする企業も。受託メーカーによると、「大手参入もなく、外的要因に左右されない安定市場を形成している」と話す。つづく
詳しくは健康産業新聞1796号 (2024.9.18)で
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