ZOOM UP【α-GPC】 認知機能改善、運動機能へのアプローチで認知広がる

 α-GPC(グリセリルホスホリルコリン)は、母乳や体内に含まれる栄養成分で、細胞膜の構成と補修に不可欠なコリンの補給元として知られる。コリンは生体中に存在しながらも、肝臓以外の臓器ではほとんど合成できないため、食事から補給する必要がある。米国ではコリンは水溶性ビタミンとして必須栄養素扱いとなっており、米国農務省(USDA)は摂取推奨量として、成人男性で1日550mg、成人女子では425mgと設定。また、粉ミルクにもコリンが配合されるなど、年齢性別問わず必要な成分として広く認識が進んでいる。α-GPCは、肉や大豆など一般的な食品にも含まれているもののその量は微量で、食事から必要量を摂取するのが難しい。そのため米国ではコリン補給を目的にコリン前駆体のα-GPCサプリメントの摂取が習慣として定着している。こうした流れは米国にとどまらず、日本でも機運が高まりつつある。特に成長ホルモンの分泌を促進することが期待できることから、エイジングケア素材としての認知も徐々に進んでいる。

 

 α-GPCに関する機能性研究では、成長ホルモン分泌作用や肝機能障害改善、血圧低下、ストレスホルモン分泌抑制作用、認知機能改善作用を有することがわかっており、健康長寿のカギを握る重要成分として年々評価が高まっている。米国でのサプリメント利用のほかに、イタリアやロシア、韓国では脳機能障害に対する医薬品として利用されるなど、その機能性は折り紙付きだ。国内では、脳機能サポート素材として根強い人気を誇る。認知機能低下の要因としてコリン不足が知られており、アルツハイマー型認知症の原因の1つに、脳内神経伝達物質であるアセチルコリンの減少が影響していることが昨今の研究で指摘されている。α-GPCはコリン補給の役割を持つことから、認知機能対策素材として年々利用が進んでいる。国内リン脂質原料のトップメーカーの日油が実施した臨床試験では、アルツハイマー型認知症患者における認知機能評価により、認知機能の維持・向上作用について確認している。

 

 一方で、ここ数年はスポーツニュートリション用途での引き合いも出てきている。研究では、アスリートの競技パフォーマンスの向上作用が確認されている。激しい運動によって血清コリン濃度の低下が報告されており、α-GPCを摂取することでコリンを補給し、血清コリン濃度の低下によって引き起こされる競技パフォーマンスの低下を改善する可能性があるという。また、コリンは細胞膜構成成分の一つであることから、傷ついた筋肉細胞の修復を促進する可能性もある。脂肪燃焼を促進するケトン体を血中に放出する作用などもわかっており、脂肪燃焼促進素材としての認知も進みつつある。つづく

 

 

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