ZOOM UP【慢性炎症対策】 老化と切り離せない重要なテーマ

 「疲れやすい」「やる気が起こらない」、こうした状態に慢性炎症が関与している可能性が分かってきた。ストレス社会といわれる現代において、疾患ともとれないこのような症状だが、アフターコロナに入り、心身の不調として同様の状況に陥る人は増加傾向にある。これらは、脳内で起きた炎症によって脳機能が低下し、認知機能低下や抑うつなどの神経症状を引き起こすという。ストレスを受けると生体内で炎症性サイトカインを誘導することがわかっており、慢性炎症性疾患の患者では、うつ病の併発率が高いことが報告されている。慢性炎症とうつ病の因果関係については解明されていないものの、こうした状況が進展すると、正常な社会生活が送れなくなる慢性疲労症候群を引き起こすともいわれている。

 

 慢性炎症とは、本来一過性にとどまる炎症反応が、弱い状態でくすぶり続け、歯止めが効かない状態に突入する状態を指す。痛みなどの自覚症状が無いまま進行していくため、種々の疾患の発症や悪化に繋がる要因として近年重要視される病態基盤だ。欧米では“そっと忍び寄る殺し屋”を意味するサイレントキラーとも呼ばれている。

 

 こうした慢性炎症の対策の重要性を受け、食品による対策も本格化。欧米では抗炎症を訴求するサプリメントが既に定着しており、消費者の利用が進む。米国では「Anti-Inflammation Diet(抗炎症ダイエット)」と称し、抗炎症に着目した食事による健康法が発信されるなど、食品中の抗炎症作用に注目が集まる。2014年には米サウス・カロライナ大学の研究チームが、食事が炎症反応に及ぼす影響を総合的に評価する指標として「dietary inflammatory index(DII)」(食事性炎症指数)を考案。炎症バイオマーカーの数値から、食物の炎症度合をスコア化し、DIIスコアと炎症状態との妥当性を検証している。DIIが低い抗炎素材として、オメガ3脂肪酸や多価不飽和脂肪酸、ポリフェノール、ビタミン類、食物繊維などを挙げている。つづく

 

 

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