特集【関西受託企業ガイド】 増収6割、原料開発や製造技術向上で差別化

 本紙が実施した2024年上期の健食受託市場調査によると、関西の2府3県(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山の計28社)の上期の売上増減率は59.2%が伸長、下期見通しでは、増収見込みが62.9%に。下期に増収を見込む企業からは、「新規顧客の獲得」が80%を占める。各社からは、「ハラル、コーシャ対応の受託案件の受注が増加している」「新規輸出案件が成立したため」など海外向けの伸長が主とする回答や、「新工場の本格稼働が売り上げに貢献した」「廃棄品のアップサイクルなどニッチな分野のニーズを意識したオンリーワン営業が功を奏した」「オリジナル原料の供給が増えた」といった回答も。

 

 今回の取材で、一部受託メーカーからは、「最終梱包の問い合わせが増えている」との声もあった。「関東の受託メーカーとやり取りしている九州の通販会社の中には、人材不足やコスト高の影響で、地元の外注先が確保できず、社内の保管・作業スペースにも限りがあるため、輸送経路途中の関西圏で最終梱包を行うことで、人材不足と保管スペース、コスト面などでメリットがある」という。

 

 受託メーカーによる新たな原料開発も盛んだ。関西受託メーカーのオリジナル原料には、「シマアザミ」「長命草」「梅プロテオグリカン」「フェムテック・ベジプロテイン」などが見られ、エビデンスの拡充や、原料の希少性、ストーリー性のアピールなど新たな需要創出に向けた取り組みが進む。関西受託メーカーの受注が増えている剤形のトップ5は「粉末」「錠剤」「顆粒」「飲料」「ハードカプセル」。「粉末」については、原料特性を生かした殺菌方法で植物の特性を最大限に引き出す受託加工により、数十種類におよぶ国産野菜の提案も見られ、健康食品だけでなく、医薬品や漢方、一般食品まで幅広い分野で採用されている。「錠剤」では、特殊錠剤の製造も可能な専業受託メーカーが活躍。地元で中小企業優良企業表彰に選出され、地域の産業振興に貢献しているケースも。

 

 「ドリンク」では、コロナ禍以降再開した飲料案件と共に、製薬メーカーからの新規案件などが堅調に推移。素材としては、「プロテイン」「コラーゲン」「乳酸菌」などが受注上位に。カテゴリーでは、「美容・美肌」「滋養強壮」「ロコモ」「スポーツ」など。高濃度配合技術や、粉末の殺菌技術および風味の安定したエキス製造など、受託メーカーによる“+α”がアドバンテージに。新たなトレンドでは、“使い切り”タイプのブロー充填が急伸しているほか、アルミパウチ充填などの需要も増加している。つづく

 

 

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