【有識者インタビュー②】 抗酸化・テストステロン・免疫力がカギ
クリニックF 院長・医師 医学博士/工学博士/薬学博士 藤本 幸弘氏
医療機関をはじめ、健康食品・化粧品産業界でも、エイジングケアの研究が急速に進む。三つの博士号を持ち、外面からの若返りであるレーザー治療を専門とする一方、ディフェンシブ栄養学、オフェンシブ栄養学など、内面からのエイジングケアを提唱する医師の藤本幸弘氏に最新の内外美容について話を聞いた。
――オフェンシブ栄養学の定義とは
2018年に身体を守るために必要な栄養素を摂取するディフェンシブ栄養学を提唱したが、これは病気にならないための栄養学。コロナ禍を経てより進化系の栄養学が必要と捉え、より健康で若くなりたいと思う人のための、攻めの栄養学であるオフェンシブ栄養学の定義を作った。エイジングケアの観点で言うと、抗酸化、テストステロン、免疫力の役割が大きいと考えている。細胞が酸化すると老化し、遺伝子が酸化すると癌化するため、酸化つまり活性酸素発生をいかに抑えるかが重要。
活性酸素も4つの種類があり①スーパーオキシド②過酸化水素③ヒドロキシラジカル④一重項酸素が挙げられるがそれぞれに効果がある抗酸化剤は異なる。特にヒドロキシラジカルは、一瞬で産生され体を酸化させる最悪の活性酸素である。この物質を作らせないためには、初期に体内でできるスーパーオキシドを消去する体内酵素SODが不可欠だが、その活性力は35歳辺りから加齢と共に減少してしまう。このため40歳を過ぎるとビタミンCやE、グルタチオンなどの抗酸化成分を体内代謝時間に合わせて効率良く補給する必要がある。
テストステロンは、意思決定の速さ、筋肉や骨の強化、抗炎症作用など、心身共に若さを保つ重要な働きを備えているホルモン。男性に多く備わっているが女性にも備わっている。男女の差はあるが50歳を過ぎた辺りから急激に減少する。筋トレや睡眠によりテストステロン値が上がる。また、ビタミンDや亜鉛が含有された食事やサプリメント、注射などがある。免疫に関しては、腸内環境、脂肪酸の有効性など様々なアプローチが確認されている。
――最近研究しているサプリメントは
NMNは、オフェンシブ栄養学の1つとして捉え、研究中だ。「サーチュイン遺伝子に働きかけるから若返る」などの理論が広がっているが、実際にどこに効果が出るかはわかりにくい。我々はNMNを飲んだ体感を抽出し、帰納的にNMNの作用を推測した。「育毛効果があった」「良く眠れるようになった」などの声が上がったと共に、高齢になると乱れる自律神経の安定化作用があるのではないかと考えている。これらのエビデンスを元に、NMNの新しい知見の発表を予定している。つづく
詳しくは健康産業新聞1794B号 別冊特別企画「エイジングケア」(2024.8.21)で
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