【有識者インタビュー①】 老化速度を遅らせて健康寿命を延伸
近畿大学アンチエイジングセンター ファウンダー
日本抗加齢医学会 理事長 医師 山田 秀和氏
生物学的年齢を推定する技術「エピジェネティッククロック」。この技術・研究を通じて、老化のメカニズムが解明されつつある。健康長寿の延伸を目指すアンチエイジング医学では、老化の抑制、制御には、運動、栄養(食事)、精神(心、睡眠)、環境のケアが重要としている。今回は山田秀和氏に老化の原因と老化速度を遅らせる方法を聞いた。
――老化のペースは測れるのか
老化が進むと歩行能力や握力、認知機能などが落ちてくる。これら身体機能の低下は、立ち居振る舞いや外見で判断ができるため、「見た目」が老化のひとつの指標といえるだろう。1970年代に行われた、ニュージーランドのダニーデン市で行われた研究では、1,000人規模の子供たちを対象に、生まれてから45歳までの身体機能、心理状態、社会的な要因などについて、様々な側面から老化を調べた。その結果、人によって老化のスピードは個人差があることが明らかになり、同年齢なのに老け顔の人は体内における老化のスピードも加速していることがわかった。この研究で外部環境により、老化速度は変化するということが報告され、老化速度を『ダニーデンペース』で客観的に評価できるようになった。
――近年注目されるエピジェネティッククロックとは
一卵性双生児なのに片方の人だけ老け込んでしまったり、日本在住期間が長い外国人が日本人の見た目に似てきたりと、容姿などが変化することがある。つまり、行動や環境により遺伝子に変化が起きる。これは「エピジェネティックス」が関係する。DNAの塩基配列は変わらないと考えられていたが、遺伝子の働きが環境や老化などの影響を受けてDNAの配列はそのままでも、化学修飾で、遺伝子発現が変化をする。加齢に伴い、DNAメチル化の変化が老化速度に影響を与えるのだ。近年は、ダニーデンペースと同様に老化速度の評価する指標として、生物学的年齢をDNAのメチル化パターンに基づいて推定する「エピジェネティッククロック」が注目を集め、AI などの科学技術の発展により、その精度を高めている。つづく
詳しくは健康産業新聞1794B号 別冊特別企画「エイジングケア」(2024.8.21)で
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