別冊特別企画【エイジングケア】 新概念”エピジェネティクス”に注目
■幹細胞・エクソソーム化粧品が人気
加齢により肌や身体に現れるサインとして、シワ・タルミ・クスミ、疲労、活力低下などが挙げられる。アウターケアでは、ナイアシンアミド、ビタミンC、ヒアルロン酸、コラーゲン、プラセンタなどを中心に、最近では幹細胞培養液やエクソソームを配合した化粧品・医薬部外品の開発が活発化している。本紙が今年5〜6月に実施した化粧品受託メーカーへのアンケート調査(有効回答126社)によると、今年上期の人気受注成分は、「ナイアシンアミド」が1位、「幹細胞培養液」(ヒト・植物含む)が2位、次いでビタミンC、コラーゲン、ヒアルロン酸、エクソソームと続いた。「ナイアシンアミド」は、抗シワ、美白効果の表示が認められており医薬部外品の定番として利用が進む。幹細胞培養液やエクソソームは、ここ数年急速に人気が高まり、エステサロンや医療機関などで利用が進む。
■エイジングケアサプリ上市相次ぐ
一方、エイジングケア向けのサプリメントの開発も活況だ。「肌」をヘルスクレームに含む機能性表示食品は938品となり、昨年同時期から200品弱が増加、機能性表示食品全体の1割を超えるまでになっている。クリニックF院長の藤本幸弘医師は、本紙の取材に対して、「エイジングの観点では、抗酸化・テストステロン・免疫力の役割が大きい」と話す。同氏は、抗酸化についてビタミンCやグルタチオンなどの抗酸化成分を、体内代謝に合わせて摂取することを提案している。エイジングケアに対して有用な食品素材は、活性酸素種を除去するポリフェノール系からSOD様食品まで様々。
スーパーオキシドアニオンを還元するのは、体内のSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)酵素だが、ヒドロキシラジカルまで酸化した活性酸素は、体内の酵素では除去できず、ビタミンCや水素など、抗酸化物質の摂取でしか除去できない。そこで健食業界では、SOD様食品やビタミンC、CoQ10、PQQ、水素、松樹皮、茶化エキス―― など、様々な抗酸化物質が利用されている。さらに、「セノリティクス」と呼ばれる老化細胞除去成分も注目を集めている。もともと医療現場で、ヒトの老化細胞を除去する基礎研究が行われていたが、健康食品の分野でも、NMN、ケルセチン、クルクミン、レスベラトロールなどを用いた抗老化の研究が進んでいる。
■NMNやPQQが頭角表す
抗加齢分野では近年、「エピジェネティクス」が話題となった。DNAの塩基配列を変えず、遺伝子の働きを制御する仕組みを研究する学問を言う。生物学的年齢は遺伝だけでは決定せず、外部環境により老化速度が変わるというエイジングケアの観点から、食や運動により老化を遅らせる活動が広がっている。健食でも老化速度を遅らせる成分としてNMNやPQQなどの研究や製品開発が活発化している。NMNは、本紙が今年5〜6月に健康食品受託製造企業を対象に実施したアンケート調査(有効回答139社)で、今年上期の人気受注素材ランキング1位となり、エイジングケアの代表素材となりつつある。昨年末には、第1号の機能性表示食品も上市されて以降、今年に入り立て続けに第2号、第3号と受理が続いている。またPQQも、単体での配合やNMNとの相乗効果を目的に配合するケース増えている。NMNの作用機序は、DNAの修復を行うことで、様々な作用をもたらすといわれており、産学連携での研究が続いており、今後、新たな機能性研究の発表にも期待されている。つづく
詳しくは健康産業新聞1794B号 別冊特別企画「エイジングケア」(2024.8.21)で
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