ZOOM UP【注目の植物油】 新油市場310億円、米油・MCT2ケタ増

 「美味」「健康」「機能」を切り口とした“サプリ的オイル”の需要は着実に高まっている。日清オイリオグループの定点調査(『インテージ社SCI-pデータをもとにした日清オイリオグループ推計』)によると、アマニ油、エゴマ・シソ油、米油、MCTオイルを中心とした「新油」の2023年度の売上高は約310億円(前年比3.3%増)に。内訳をみると、アマニ油65億円(同15%減)や、シソ・エゴマ油28億円(同24%減)などが苦戦する中、米油176億円(同10%増)や、MCTオイル34億円(同41%増)が2ケタ増と大幅に伸びている。日清オイリオでは7月、機能性表示食品『日清MCTオイルHC』に新たなヘルスクレーム「BMIが高めの方の日常活動時の脂肪の燃焼を高める」を追加。従来からの「BMIが高めの方の体脂肪やウエスト周囲径を減らす」と共に、Wヘルスクレーム商品としてリニューアル。「既存のマヨネーズやドレッシングソースとともに、幅広いレシピ提案等で消費者への普及拡大に力を入れていく」という。

 

 「新油」市場の中で、“サプリ的オイル”を牽引するアマニ油にも新たな兆しが出ている。アマニ油は、日本市場におけるパイオニアのニップンをはじめ、日清オイリオグループ、J-オイルミルズ、キユーピーなど大手各社よりドレッシングやマヨネーズ、サプリメントなど様々な形態で商品が展開されている。5月にNHK「あしたが変わるトリセツショー」で取り上げられて以降、日常食に新たに取り入れる消費者が急増しており、「数ヵ月分の在庫が数日で売れた」「商品注文が殺到し、以前のブームの再現のよう」といった声がある。機能性表示食品では、α-リノレン酸を機能性関与成分に、血圧対策、LDL(悪玉)コレステロール対応などで受理されている製品群が中心。ニップンでは、『アマニ習慣』『アマニ油プレミアムリッチ』『たまねぎドレッシング アマニ油入り』『アマニ油効果』など複数の商品が機能性表示食品として受理されている。J-オイルミルズは肌の保湿力と潤いキープを訴求した初の機能性表示食品『AJINOMOTO 毎日アマニ油』を展開している。

 

 米油は、原料の米ぬかに含まれるγ-オリザノールの抗酸化作用や血中コレステロール低下作用と共に、オメガ9系脂肪酸(オレイン酸)が豊富で耐熱性が高く、油切れの良いアレルギー・グルテンフリー油として国内外で需要が拡大している。海外市場からは、日本発のボタニカルオイルとして評価が高く、主に揚げ油として幅広く採用されている。サプライヤーは、オリザ油化や築野食品工業など。オリザ油化は、1939年より米油の抽出精製事業を手掛けるパイオニアメーカー。海外米油の安定的な調達、海外への販売戦略強化に力を入れている。昨年12月には機能性表示食品「オリザの米油 機能性表示食品」も発売している。築野食品工業では、米糠由来の食品・化粧品原料、各種「こめ油」等を展開。5月9日には、米由来の天然成分であるγ-オリザノールを機能性関与成分とする中性脂肪・コレステロール対応の機能性表示食品『体にうれしいこめ油』を発売した。つづく

 

 

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