【無店舗販売ルート】 通販市場、紅麹問題落ち着くか MLMは交流復活で回復傾向

 通販協が公表した2022年の通販市場規模は12兆7,100億円。年々増加傾向にあり、コンビニの市場規模に迫る勢いにある。通販協会の2024年の月間速報値によると1月以外は2~5月までプラス成長が続いている。通販市場は、化粧品・健康食品の割合が多く、全体の内、化粧品は25.2%、健康食品は14.6%と、合わせて半数近くを占める。成長が続く健食通販市場だが、3月の紅麹問題により影響を受けた通販企業は少なくない。総務省統計局の4月、5月の2人以上世帯を対象とした「家計消費状況調査」の健康食品のネット通販支出額は、4月が780円で前年同月比13.5%増だったが、5月は777円の前年同月比1.7%増になった。2024年は前年比をいずれも伸長しているが、4~5月の伸び率は鈍化している。

 

 実際、編集部に寄せられた通販企業からの声には、「紅麹を扱っていないのに定期購入のキャンセルが出ている」「コールセンターの問い合わせが後を絶たない」「解約数がこれまでで一番多かった」などの声が聞かれた。6月辺りから、状況は落ち着いたものの、通販企業の中では、機能性表示食品の販売を慎重に進める企業も多く、下期にかけて通販市場の売上減少は否めない。ただし、このような中でも健闘する通販企業も多く、酵素ドリンクや機能性ドリンクなどサプリメント剤型ではない製品を扱う企業は、紅麹問題関係なくプラス成長が続いている。

 

 今年上期の訪問販売、MLM市場は、人的交流が戻り、売上の回復が見えてきた。昨年と比較して、各社、セミナーなどを積極的に開催。コロナ禍でズームなどのオンラインセミナーや交流会開催のノウハウも蓄積され、リアル開催と併用することで、効率良く製品販売が行えるようになったようだ。MLM企業が多く加盟する全国直販流通協会は、会員向けに法律やコンプライアンス関係のセミナーを再開し、これまで以上に各社真剣に参加するようになったという。同協会の高橋局長は、「コロナによってネットワークビジネスの多様化が加速した。グループ活動において、これまでの【健康、美容、収入】から【生きがい、コミュニケーション、人の役に立ちたい、自分のレベルを上げたい】といった意思を持つグループが躍進している。アトラクトマーケティングと呼ばれる、売り込み型の営業ではない手法で業績を上げている」と話す。

 

 健康食品の取扱比率が7割近くあると言われている配置薬業界では、各社、健康食品の開発に力を入れている。配置薬メーカーが加盟する全国配置薬協会は昨夏、都内で2回目となる合同商談会を開催した。今年も規模を拡大し7月末に都内で第3回目を開催する。参加者からは、「配置薬業界はコロナ以降、業界各社の売上減や人員不足などの課題解決に取り組んでいる。特に地方では必要とされる業種にしていかないといけない」と話す。展示商品は、GABAや黒酢、高麗人参などのサプリメントに加え、機能性表示食品などの提案も。「配置薬は、先用後利なため、すぐに売上を立てるのが難しい反面、健康食品は勧め方によっては定期的に摂取して貰えるので、売上計画が立てやすい。新しい製品よりも、青汁や人参など定番の製品をバージョンアップしていきながら手堅く売っている」などの声が聞かれた。つづく

 

 

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