【薬系店舗ルート】 調剤・食品強化と共に健食伸長

 今年上半期の薬系店舗ルートを見ると、主要各社はいずれも増収で推移。健食売上については、3月の紅麹問題の余波が影響したものの、各社による「調剤併設」や「食品強化」に支えられ、コロナ収束後の人流回復や、インバウンド回復基調などの影響もあり、概ね純増で推移している。「ビタミンC」「青汁」「プロテイン」といった製品が好調で、カテゴリーでは、「抗メタボ・ダイエット系」をはじめ、昨今売り場が充実してきた「フェムケア」や、定番の「アイケア」「スポーツニュートリション」などが上位に。今年に入り、ウエルシアHDとツルハHDの経営統合、スギHDによるI&Hの子会社化など大手経営統合が相次ぎ、一段と寡占化が進んでいる。

 

 上半期における主要各社を見ると、健康食品は各社とも順調に推移している。ウエルシアホールディングスは、PB「からだ・くらしWelcia」が化粧品、食品、雑貨で人気商品も増え、前期比12%増と売り上げ拡大に貢献。節約志向に応えるPB「トップバリュ」の売上も拡大している。なお、減益要因は、水道光熱費など販管費の増加によるもので、自動発注などの効率化や店舗のエネルギー消費低減に力を入れている。また、ウエルシアHDは2月に、ツルハホールディングスとの経営統合の協議を開始しており、店舗開発や調剤併設化、物流効率化、DX・ECの推進等に関する相互協力などを進めている。両社合計で売上高2兆円超となり、今後、様々な分野でのシナジーでアジア№1のグローバル企業への成長を目指す。

 

 ツルハHDも業績は好調だ。コロナ収束に伴う人流やインバウンド需要などの回復が寄与し、既存店売り上げが回復傾向に。出店精度の改善で新店の黒字化率も改善傾向だった。品目別では、「化粧品」が前年比9.8%増と好調に推移したほか、「食品」も同8.5%増と伸長。健康食品を含む「医薬品」も同7.9%増に。「日用雑貨」では、ヘアケアやペットフードなどが貢献した。マツキヨココカラ&カンパニーでは、美と健康のカテゴリーに注力。都市部の人流回復やインバウンド需要の回復を取り込んだことなどが業績に寄与した。サンドラッグでは、ディスカウントストアを除くドラッグストアの売上が9.1%増に。繁華街におけるインバウンド需要が、コロナ禍前水準の約60%程度まで回復した。外出機会の増加による化粧品等の需要回復に加え、過去最高となる59店の新規出店や、100%子会社化した大屋などが増収に貢献した。

 

 売上高、営業利益とも2ケタ増と好調に推移するのは、スギホールディングス、クスリのアオキホールディングスの2社。スギHDでは、物販領域で訪日外国人観光客の増加が著しいエリアへの出店強化な都市部での売上拡大に注力。郊外既存店の改装も積極的に実施し、各地のニーズに合致した品揃え充実に努めた。また、アプリを活用し、ここに最適な情報やクーポンを配信するなど買い上げ点数向上にも取り組んだことが要因。2月には、I&Hの 子会社化を発表。I&Hグループは、調剤事業を中心に、店舗常駐の管理栄養士による栄養相談なども展開するなど周辺事業を拡大している。2社売上合計は8,000億円超となる見通しで、25年決算次第ではドラッグチェーン3位に浮上する。3月にはスギウェルネスを設立し、リアルとデジタルを連携させた予防・未病領域の事業展開も強化している。

 

 クスリのアオキHDは、物価上昇に伴う消費者の節約志向を背景に、生鮮食品等の品揃えを強化するなど、顧客の利便性向上に注力。商品部門別売上では、売上構成比48.4%を占める食品、飲料等の「フード」が24.5%増と好調だった。なお、売上構成比9.6%の健康食品を含む「ヘルス」は2.7%増だった。クリエイトSDホールディングスは、エブリデイ・ロープライスの推進、生鮮食品や冷凍食品の品揃え拡充、調剤薬局の併設などに注力。部門別では、「食品」が16.5%増だったほか、「化粧品」も7.3%増と売り上げに貢献。なお、「医薬品」は6.8%増、健康食品の売り上げは8.7%増だった。「全体の売上げが2ケタ増であることを考えれば、8.7%増とはいえ、紅麹問題の影響を受けた可能性も否定できない」としている。つづく

 

 

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