【行政動向】 「機能性表示食品制度」改正へ
消費者庁は4月1日、「機能性表示食品のあり方検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、体制を整備。連動する形で、有識者9人で構成する「機能性表示食品を巡る検討会」の開催を決定、4月19日に初会合を行った。5月23日までに計6回開催。論点は、「健康被害情報の取り扱い」「製造・品質管理」「情報提供のあり方」に絞り込まれ、5月27日に報告書を公表。健康被害情報は対象事案等を明確にした上で、届出者が法的義務として行うことを盛り込んだ。またサプリ形状の機能性表示食品について、GMPによる製造・品質管理の義務化を提言。容器包装上の義務表示事項の見直しの必要性も指摘した。
消費者庁は、この「今後の対応」や検討会報告書に基づき、機能性表示食品の見直しを盛り込んだ「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)」をまとめ、6月27日に意見募集を開始した。改正の要点は、機能性表示食品の「要件」を食品表示基準に規定し、順守しない場合はヘルスクレームができなくなるというものだ。順守事項は、①届出後に新たな科学的知見が得られた際の消費者庁長官への報告、②錠剤、カプセル剤等食品の製造工程のGMP基準の適合、③医師の診断による健康被害情報の消費者庁長官及び都道府県知事等への早期提供、④順守事項の自己チェック報告等。これらの事項を内閣府令で定め、様式等は告示で定めることとしている。
併せて、新規成分への対応として、慎重な確認が必要な成分に対し、医学・薬学等の専門家の意見を聴く仕組みを導入し、販売前の届出資料の提出期限を「120営業日前」とする“120日ルール”を新たに設ける。また今回の改正では、特保や医薬品とは異なる旨や、摂取上の具体的な注意事項など、表示の方法・方式を見直す。機能性表示食品である旨は、現行は容器包装の主要面に記載することとしているが、改正案では、「主要面の上部」と位置を規定。機能性表示食品の文字を枠で囲み、さらに届出番号を近接した箇所に表示する。
健康被害情報の収集と、医師の診断による情報の提供については、今年9月1日に施行し、即日実施。新規成分の120日ルールに関しては、2025年4月1日に施行・実施する。GMP基準の適用と、表示方法等の見直しに関しては、9月の施行から2年間の経過措置期間を設定、2026年9月1日に実施する予定だ。なお「120日ルール」の施行時期は、研究レビューの国際指針「PRISMA2020」が2025年4月1日から新規届出に適用されることに合わせた。
消費者庁が改正案について意見募集を開始した6月27日、厚生労働省は食品衛生法施行規則の一部を改正する省令案について意見募集を開始した。食品全般に対する情報提供の努力義務を維持しつつ、機能性表示食品の届出者に対し、健康被害の発生または拡大の恐れがある旨の情報を得た場合、「速やかに、当該情報を都道府県知事等に提供する」ことを定める。併せて届出者に対し、新設する基準に従い、公衆衛生上必要な措置を定め、順守することを義務付ける。8月上旬に公布し、9月上旬に施行する予定。また厚労省では、健康被害情報について専門的知見に基づく対応を検討するため、「機能性表示食品等の健康被害情報への対応に関する小委員会」を設置する方針。健康被害情報に対し、食品衛生法上の措置の要否について検討する。
今回、機能性表示食品のGMP要件化で注目度が一気に上昇した「GMP指針」は、原材料の安全性指針、製造・品質管理(GMP)の指針で構成。原材料の安全性に関する新ガイドラインでは、対象となる食品や営業者などを規定。ガイドラインが定義する「原材料」については、「製品を製造等するための全ての配合原料をいう」とした。原材料の安全性自主点検に関しては、3つのステップで行うことを明示化。「製品設計における留意事項」では、「安全上管理すべき成分を確認する」「原材料、製品及び中間品の規格を設定する」ことなどを盛り込んだ。
GMPに関する新ガイドラインでは、製造・品質管理の考え方を明確化する目的で、「指定成分等含有食品に関するGMPの運用を参考に、より具体的な内容を示した」としている。「管理組織の構築及び作業管理の実施(GMPソフト)」では、総括責任者、製品標準書、製造管理基準書、品質管理基準書、製品の製造・品質管理、出荷管理、バリデーションの実施などのほか、必要な事項について規定している。「GMPを実施した製造工程管理」の図も示した。つづく
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