特集【フェムケア・フェムテック】 サプリ・食品が続々、チャネルも拡大
「フェムケア・フェムテック」は、女性特有の健康課題を解決し、QOLを高めることが期待されている。対象は、月経、不妊、出産、更年期、冷え対策、骨粗鬆症など、女性のライフステージごとに変化。女性の社会進出を背景に、これら女性特有の健康課題に対応した製品が続々上市され、フェムケア・フェムテック市場は拡大している。経済産業省は今年2月、「女性特有の健康課題による社会全体の経済損失」を公表。月経随伴症に関する経済損失は、年間約6,000億円、更年期症状は同1.9兆円、不妊治療は同2,600億円と試算した。損失額は約2.7兆円に上り、フェムケア・フェムテックは社会課題を解決する上でも注目の市場となっている。
フェムケア・フェムテック製品をみると、国内では2021年にGUの吸水ショーツなどが火付け役に、デリケートゾーンケア化粧品、月経カップ、骨盤矯正機器類など、様々な製品が上市され、多様な業界から新規参入が相次いでいる。矢野経済研究所が昨年11月に発表した調査では、2023年のフェムケア・フェムテック市場を743億円と推計。2021年以降、年率107%で成長している。健食業界も成長する同市場に注目。新規参入する企業が相次いでいる。フェムケア分野に活用されている健康食品素材は、大豆イソフラボン、葉酸、亜鉛、ウマ由来肝臓・心臓エキス、松樹皮エキス、サジー、マカ、プラセンタ、ラフマ葉、クロレラ、チェストツリー、オーランチオキトリウム、乳酸菌、アグアヘ、ザクロ、ヨモギ――など多岐に亘る。
原料サプライヤーサイドでは、フェムケア向けのエビデンス取得の動きが加速。ホルスは、ウマ由来肝臓および心臓エキス末を開発。両原料の混合粉末品のヒト試験で、平均体温を高める効果と体温回復力を高める効果を確認している。また、美容に対するエビデンスと併せ、提案の幅を広げるサプライヤーも。フジッコは、ダイセルとの共同研究で、『フジフラボン®』と「ラクトビオン酸」の併用摂取に肌の改善効果を確認。大豆イソフラボン、ラクトビオン酸を機能性関与成分として機能性表示食品の届出を行い、昨年12月に受理された。従来の「骨の成分維持」機能性に加え、「肌改善」の表示も加わり、提案の幅が広がった。ニチモウバイティックスは、発酵大豆胚芽抽出物『Aglymax®』を用いたヒト試験で、妊娠率上昇、子宮内膜症の抑制、アンチエイジングホルモン産生促進、抗酸化機能の向上の効果を確認済み。フェムケア+美容での提案を強化している。
フェムケア分野の機能性表示食品では、アサヒグループ食品が昨年、CP2305ガセリ菌(L. gasseri CP2305)を機能性関与成分とし、「月経」を含む表示で、初めて受理されている。続いて、常磐植物化学研究所がラフマ由来ヒペロシド、ラフマ由来イソクエルシトリンを機能性関与成分とし、同様に「月経」を含む、複数の異なる表示で受理されている。フェムケア・フェムテックに対する消費者の認知度拡大と共に、関連製品の販売ルートも拡大。従来のECを中心とした販売、婦人科系の医療機関での推奨販売に加え、最近では、イオンリテール、ドラッグストアなど店販ルートへも拡大。市場は盛り上がりをみせている。つづく
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