ZOOM UP【抗糖化】 糖化ストレスの新たな概念も 

 国内で「抗糖化」の関連商品が登場してから10年以上が経過。消費者認知調査では約80%が「抗糖化を知っている」状態になった。また、糖化ストレスの新たな概念も。糖化について長年研究する同志社大学教授の八木雅之氏は、「良いAGEsと悪いAGEsにわけられることがわかってきた。糖化ストレスの概念を見直す時期かも」と指摘する。同氏に最新の糖化ストレスについて聞いた。

 

 日本における糖化の認知はコロナ禍以降、健康や美容対策に対する意識が一層高まったことから、さらに広がった。一方、糖化ストレスは還元糖やアルデヒド負荷による生体へのストレスとその後の反応による負の影響を総合的に捉えた概念として2011年に提唱された用語で、老化危険因子のひとつである。糖化ストレス対策は抗糖化、糖化ケアなどの分かりやすい表現でマスコミに取り上げられたことから、老化の予防法として知られるようになった。食後の急激な血糖値上昇は、血糖値スパイクと言われ、その対策法としてベジタブルファーストなどの食事法が定着した。さらに、血中では血糖値スパイクと同時に3-デオキシグルコソン、メチルグリオキサールなどのアルデヒドが急上昇していることがわかってきた。

 

 食品に含まれるAGEsは悪者との考え方もある。しかし味噌や醤油などに含まれるAGEsの一種であるメラノイジンに抗糖化作用や抗酸化作用が報告され、これらは良いAGEsとして再認識されるようになった。このため糖化ストレスの概念は見直す時期になってきた。新しい糖化ストレスの概念は、還元糖、脂質、アルコールなどに由来するアルデヒドが生体内で過剰に生成する状態により、老化や疾患を惹起する一連の概念とされている。前述の通り、生体の糖化と食品の糖化はその影響や観点が異なるため別々に考える必要がある。

 

 近年の糖化研究では鰹だし、牛肉スープのアルデヒド生成抑制作用が検証されている。また、餡、甘酒などの伝統的な甘味食品に、AGEs生成抑制作用や食後高血糖を抑制する作用が報告されている。さらにアイスクリーム類は、その種別や食べ方によって食後血糖値への影響が異なることがわかってきた。既に様々な食品素材のAGEs生成抑制作用が報告されていることから、これらの素材や最新情報を組み合わせることによって、新たな抗糖化レシピやメニューの開発が可能になった。抗糖化は、食事を工夫することで無理なくできる身近な老化対策になってきた。つづく

 

 

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