特集【吸収性向上素材・技術】 体感性アップ・コスト減を両建て

 吸収性向上素材は「汎用型」「特化型」「個別型」に大別される。「汎用型」では、黒胡椒抽出物を筆頭に、高麗人参、シトルリンなどの血流改善素材がある。黒胡椒抽出物については、サビンサ ジャパン コーポレーションが、同時摂取した機能性成分の体内吸収を促進する特許素材『バイオペリン®』を提案。剤型を問わない汎用性の高さやコスト負担が小さいことも評価され、採用件数は年々増加している。新たな知見として、NMNと併用摂取することで、吸収性が高まることを確認するなど、市場ニーズにマッチしたエビデンス構築も進めている。高麗人参やL –シトルリンなどの血流改善素材は、「代謝向上(発汗)」をコンセプトに、フィットネスクラブのPB商品に採用されるほか、ダイエットや男性向け商品の“サプリ力”強化に欠かせない素材に。

 

 「特化型」は、“カルシウム+ビタミンD”など、特定成分の吸収性を向上する素材。「個別型」は、独自の抽出法や乳化・発酵技術などを活用し、素材自体の吸収性を高めたもの。高吸収性クルクミノイド、ナノフコイダン、発酵高麗人参などがあり、サプライヤーでは、ハイグレード原料として提案している。アルプス薬品工業では、ユビオフラボノイドデリバリー技術を活用した『ユビオケルセチン』の供給を開始。インデナジャパンでは、生体内利用率の向上を実現するフィトソーム技術を活用したケルセチン、クルクミン、クランベリーなどの独自原料を多数ラインアップしている。

 

 受託製造企業は提案する吸収性向上技術は、「ナノリポソーム化」「微粒子化」「細胞壁破砕」「酵素分解」「低分子化」「乳化」「コーティングビーズ」「高分散型ソフトカプセル」など。吸収性向上・分散性向上・コスト削減・呈味性改善を併せ持つ“差別化技術”として提案する。ナノ化については、医薬品・化粧品・電気など、異分野でナノ加工受託を進めてきた大手企業が、食品分野への参入を模索している。

 

 金秀バイオでは、「消化液に対する耐性の付与」「食品成分の生理機能向上」を可能にした「食品素材のナノカプセル(リポソーム)化技術」を開発。同技術を活用した素材開発(ナノフコイダンエキス末)やOEM供給に対応している。ナノ関連製品の需要が国内外で高まっていることから、製造ラインを段階的に増強、今夏には生産能力を倍増させる計画だ。成分吸収率の向上を実現する特許技術「コーティングビーズ」を活用したサプリのODMを本格的にスタートしたのは信和薬品。成分特性にマッチするパターンに分けてビーズ化するノウハウを蓄積している。「各成分の特性に合わせて、最適な吸収率を自在に操ることも可能」とする。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1791号(2024.7.3)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら