【話題追跡】 「THC」残留限度値示される、各社反発 パブコメの行方は !?

 厚生労働省は5月30日、大麻取締法関連の一部を改正する法律に対する政令案について、パブコメを募集した。目下、健食業界で話題となっている項目は、最終製品のTHC基準値が明確化されたことだ。THC含有量はオイル品10ppm、飲食品を0.1ppmとし、現行法以上に厳しい値のため、CBD関連企業は猛反発。「数値に根拠がない」「検出限界に近い含有量を検査できる機関が見当たらない」「熱や酸化により基準値以上のTHCが出てもおかしくない」など、編集部が掴んだ情報によると、既に相当数の反対意見が寄せられている。

 

 0.1ppmは、ドリンクにすると100g中に0.01mgの含有量となり、加工の際にTHC変換などの可能性もあり、技術的に難しいとされる。そもそも今回の大麻取締法改正に当たっては、①大麻成分の医薬品の利用、②大麻等の施用罪の適用に係る規定整備、③大麻草の栽培に関する規制の見直し――を目的に、昨年末に法案が成立した。これまでCBD製品は、CBDおよびTHC含有量の少ない茎と種の抽出物のみしか利用が許されてこなかった。それでも、THCは20ppm程度含有されていたと言われる。

 

 健食業界では、オイルやサプリメント摂取による睡眠改善や痛み緩和などに利用され、医療機関でも様々な活用がされてきた。実際、CBD製品で救われた人は少なくない。これらが、新制度により利用できなくなり、万が一基準値以上のTHCが検出された場合、麻薬取締法に則り罰則を受ける可能性があるとして、各社は戦々恐々としている。

 

 こうした中、6 月24日にはCBD関連各社が集い全国大麻商工業協議会が発足。CBD製品メーカーのCannaTech社長の須藤晃通氏が代表理事を務め、吉兆堂やアストラサナ・ジャパンなど10社が発起人になり、大麻産業の発展と保健衛生上の危害を防止するために政策提言などを行う。「全麻協として意見書を月内に提出するため鋭意まとめ中」、また「予定通りの基準値が公布されても、順守しつつ、提言はしていく」と話す。

 

 一方で、原料抽出の段階からTHCを徹底的に除去し品質管理を行うことで、新しい基準値の適合に自信を見せる企業も一定数存在する。大木ヘルスケアは6月7日、CBDメーカーのワンインチと業務提携を行い、ドラッグストアなどの小売店でCBD製品の市場形成に乗り出した。新たな規制に則り原料抽出、製品製造を行っていけばいいと考える企業も少なくない。つづく

 

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