特集【NMN】 インバウンドで市場拡大

 本紙が健食受託企業を対象に実施したアンケート調査(有効回答139社)では、今年上期(1~6月)の人気受注素材で、NMNが乳酸菌を抑え1位に返り咲いた。NMNはビタミンB3の一種で、ブロッコリーや牛乳などにも微量に含まれるが、サプリメントとして摂取するのが望ましいとされる。NMNの作用機序は、体内に入るとNAD+に変換される。NAD+は、サーチュイン遺伝子に働き掛け、サーチュイン酵素を活性化させる。このサーチュイン酵素が働くことで、老化によって乱れたDNAの修復を行う。

 

 日本で流通するNMN原料の生産国は中国か日本。中国の主なメーカーは、SYNCOZYME、JARI、BONTACなど。いずれもNMNの利用が認められる2020年の食薬区分改正以前から製造しており、現在は日本バルク薬品、セルマーク・ジャパンが国内の代理店として原料提案を行っている。TAメディカル、公知貿易、アスパ・コーポレーション、日本総合医療製薬など独自ルートで原料供給を行う企業も。さらに、今年よりエフアイコーポレイションが独自ルートで原料を仕入れ、OEM提案を始めた。基原料から日本でNMN原料を製造できる企業は、オリエンタル酵母と三菱商事ライフサイエンスの2社が知られている。

 

 NMNの原料価格は、キロ当たり50万円以上のものもあれば3万円台のものまで幅広い。最終製品も月3,000円台から10万円以上のものまで多様だ。主な販売ルートはメーカー通販や医療機関、エステサロン、越境EC、免税店など。NMN登場初期から販売している日清ファルマや阿部養庵堂をはじめ、三菱商事ライフサイエンス、帝人、ミライラボバイオサイエンスなどは、富裕層をターゲットに通販や医療機関、アスリート向けに提案を強化している。昨年には大正製薬も新規参入、市場開拓の糸口を模索している。

 

 NMNサプリメントは、ここ1~2年でドンキーホーテやドラッグストアでも販売されるようになった。山本漢方製薬では、ドラッグストアとしては高額の7000円台でNMNサプリメントを販売、堅調に売り上げを伸ばしている。ドンキーホーテ銀座本店では、4万円近くの「NMNサプリメント」が売れ筋上位にランクインするなど、訪日外国人からのインバウンド需要が見られるようになってきた。ファンケル銀座スクエアでは、中国人観光客向けにNMNとCoQ10を組み合わせたサプリメントをメイン商品として売り出すなど、インバウンド需要を見込んだ販促が目立つようになってきた。実際、通販で月7,000個の販売実績を持つメーカーの主な顧客は中国人だという。

 

 NMNサプリメントは上位3社で年間60億円以上を販売しており、外国人向けに年間20億円販売しているメーカー、医家向けルートで10億円以上販売している企業も見られる。本紙推計では、NMNサプリメントの市場規模は250億円を上回ると思われる。昨夏には、NMNを関与成分とする初の機能性表示食品『Refeelas』が受理された。「肌のうるおいや弾力を維持し、肌の健康を助ける」旨を表示している。受理企業は、広島の㈱CloudNine。会員向けおよび自社通販、amazonなどで販売しており、受理後は、機能性表示食品のブランド価値が付き、会員以外にも順調に売れているという。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1790号(2024.6.19)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら