連載【海外ヘルスケア事情②】 原料の高付加価値化、「コーブランディング」とは?
新型コロナが世界中で収束する中、海外のヘルスケア市場の成長率は高い。新しいニーズが生まれ、新素材や新商品、新サービスなどが続々登場している。欧米を中心としたヘルスケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛ける田中啓之氏(オクトロール㈱・代表取締役社長)が、変化する海外ヘルススケア市場の動向やトレンドなどを紹介する。2回目のテーマは、「原料ブランドのマーケティング手法」。
欧米、アジアなどを問わず、海外市場において原料提案を行う際に、客先から必ず最初に聞かれる3点セットがあります。「ヒト試験の論文はある?」「原料ブランドは取り扱っている?」「独自の特許を持っている?」。海外では、北米市場を中心に「コーブランディング」と呼ばれるマーケティング手法が一般的です。この手法は、商品に配合されている機能性原料のブランド名やそのロゴを販売する商品そのものに付記したり、ブランドサイトに掲載するものです。この手法の大前提は、原料ブランドが健康効果を担保するエビデンスを持っている点にあります。消費者は付記された原料ブランドを認識し、その商品を摂ることで得られる健康効果を“間接的に”確認できるというものです。
アパレル業界における『ゴアテックス』を思い浮かべて頂ければ分かり易いかと思います。高品質の素材として知られるゴアテックスのロゴが商品に付記されることで、消費者はその商品が高い機能効果を持つことを期待します。また、パソコン業界における『インテルインサイド』も同様の文脈になるかと思います。同じようにサプリメント業界でもコーブランディング手法を活用することで、商品自体にヘルスクレームを直接記載されていなくても、原料ブランドを通じて、消費者は商品から得られる健康効果を確信しやすくなります。
各国の関連法規はそれぞれ異なりますが、いずれにしろ健康効果の訴求については何らかの規制のハードルがあるため、コーブランディング手法を通じて間接的に健康効果を訴求するケースが多く見られます。日本でもキリンホールディングスの『プラズマ乳酸菌』がコカ・コーラ社の商品に配合され、原料ロゴを付記したりと、コーブランディング手法の萌芽は見られますが、まだまだ発展途上にあります。つづく
詳しくは健康産業新聞1788号(2024.5.15)で
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